漁書日誌 3.0

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眠歩展ほか

五反田展、下町展と両方行こうと思っていたのだが家を遅く出たせいか間に合わず。
そうそう、今日こそは前にDMをもらっていた(4月5日のエントリで紹介)生誕115年大森一生展に行かなくてはと思い出し、一路銀座へ向かう。白井晟一門下の柿沼守利設計になる瀟洒なビルに入っている清月堂画廊は初めて来たが、ここで催されている同展は、作家・眠歩から画家・一生へと名を変えた作家の個展。勿論、画業は作家時代から平行的に行われており、大正期唯一の作品集「幻想時代」には、口絵として油絵が掲載されている。それがまた象徴主義的な独特な画風で、大正という時代における文学と絵画の関係を考える上でもちょっと興味深い作家として、以前から気になっていたのであった。今回は、ご子息の方とも少しだけお話することが出来、会場で販売されていた今回の個展にあわせ上梓された画集も入手することが出来た(「大森一生画集」私刊、2014年、頒価2000円)。画集には、残存している作品のうち油彩と大正期のデッサンはほぼ網羅し(空襲にてかなり焼けてしまったとの由)年譜なども収録。大正期のデッサンもかなりお買い得な価格で出ていて、本気で一枚買おうかと思ったくらいである。受付で、1983年に催された展覧会時に作成された冊子「画鬼文句」(未刊文集からの抜萃)もいただいてきた。
惜しむらくは、次の予定があったのでじっくりは見られなかったのだが致し方ない。作品の傾向は、主に、神話的な物語を感じさせるような絵柄のものと、画集表紙に使われている作品のように画家本人の芸術家としての自己言及的な絵と二系統あるかなと思われた。大正期のデッサンは、それらとも違って独特の象徴主義的画風。それから、大正期に作品掲載された初出誌(「中央公論」)や、単行本「幻想時代」などの文学の仕事も一緒に展示されていた。


展覧会は明日17時まで。
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その後、用事を済ませてから神保町に出て、閉店間際のモールを覗きいくたりか買う。

松本三之介「明治精神の構造」(岩波同時代ライブラリ)200円
ニーチェ「権力への意志(上)」(ちくま学芸文庫)300円
扇谷正造「現代のマスコミ」(春陽堂)帯100円
割引券を使って150円引きで。「現代のマスコミ」は、花森安治装幀。新聞小説論や、新聞小説の挿絵論などが編集者の裏話的なエピソードを紹介して面白かった。