漁書日誌 3.0

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「藤蔭静枝の子」という本を買った。

今日、新潟の書店に注文していた本が届いた。
児玉義男「藤蔭静枝の子—父は文豪永井荷風と確信」(私家版)2011年3月1日発行・定価1300円+税

著者は昨年、藤蔭静枝(八重次)が昭和24年に「サンデー毎日」へ発表した自伝をまとめ詳しい解説をつけた「藤蔭静枝の自叙小伝」を出版、その後の調査と資料で藤蔭が弟に養子に出した子が荷風との間に設けた子であったという章を加え改訂版として今年新たに出版したのが本書である。全編手書き原稿の片面コピーを製本した横綴本であるが、新聞雑誌からよくも探し見つけてきたなあという写真も多く、荷風に興味がある人には面白い本だと思う。ちなみに、静枝に子がおりそれが荷風との子では…と最初に書いたのはこの著者ではなく同志社大の真銅正宏先生で、著者はその論文をもとに推理・検証をはじめていく。
この本を知ったのは、ある古書目録に「藤蔭静枝の自叙小伝」が一万円以上の値で出ていたことによる。これは何だ……しかも昨年の出版ということであればまだ在庫あるんじゃないのか(やけに高いけれどそれは古書店のやたらひねったプレミアでホントはもっと安く普通に買えるんじゃないの)、それとも元々ごく少部数の限定本で定価が高いものなのか、と思ったことであった。が、ネット検索してみると、案外簡単にどういうものかがわかった。新潟の郷土史家が自費出版したもので、定価は1300円(やっぱり先の古書店は篦棒なひねりだ)、しかもネット環境のある新潟市内の新刊書店で取り扱っているではないか。早速在庫があるかどうかの問い合わせメールをし、実は改訂増補版が出ているとの報せを受け早速注文、となった次第。
しかしこの内容ならば(そしてDTP全盛の今なら)、流通コードつけた活字本として売れると思うのだが、手書きは著者のポリシーなのであろうか。