漁書日誌 3.0

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七夕古書大入札会下見


土曜日の夕方16時過ぎに会場到着。閉場は17時、ザッと見て回る。四階と地下一階のみ。
直に手にとって見たかったのは三島由紀夫の戯曲「アラビアン・ナイト」の原稿38枚というもの。38枚といっても、タイトルと著者名で一枚、登場人物一覧で一枚、三枚目の台詞がはじまるところから原稿に自筆でナンバリング、それが36枚まで。以降は欠。「アラビアン・ナイト」は、千秋楽など三島本人が詩人の奴隷という役を急遽作って出演し、歌を歌った。しかし、幾ら飛び入りとはいえ、急遽作った役であり台詞である。単行本「荒野より」や全集に収録されたものでは三島出演にあたってどんな台本改訂がなされたのかもわからない。幸い、三島出演時に三島が歌った歌の歌詞だけは雑誌に活字化されているのを発見、次号「三島由紀夫研究」にデータを発表するけれども、それに関して原稿を見ればなにかわかると思っていたので、途中で欠というのは惜しかった。
あとはまあザッと見たけれども、安部公房の「無名詩集」やら漱石の反古やら藤村の書簡やら、今年は探偵小説が目立ったかなというのはあるけれども(小栗虫太郎とか)、まあ個人的にはこれといって是非みたいという資料はごく少なかった。谷崎潤一郎「初昔」原稿揃なんかが最低入札価格500万円で巨大な帙に入れてあったけれども興味わかず。
ふと手に取ったものでは、村上春樹海辺のカフカ」英訳限定本署名入とかだが、これなんか凾の底部分に£300とか定価が記してあった。最低入札価格は5万円だが元々日本円で定価39000円くらいか。出たばかりの頃どこかの業者が大量にネットオークションに出していたが。それよりも、せっかく「左川ちか詩集」の特装5部本が出ていたというのに、触ってくるのを忘れた。藤沢清造の原稿も出ていたが、やっぱり買う人はあの作家なのだろうか。それともそれを上回って札入れた人もいたのだろうか。


イタリア・ファシズムの芸術政治

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