漁書日誌 3.0

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未青年確保


春日井建「未青年」作品社、1960年9月1日発行
初版(というか初版しかないと思う)、包紙(トンネル函状のペラペラした紙で表紙と同じデザイン)欠、9000円。
とうとう、歌集に手を出した。それも「未青年」。歌論の本ならあるが、実は今まで歌集は一冊も買ったことがないのである。否、寺山修司思潮社から出ている新書版のやつは持っているか。塚本邦雄は・・・一冊くらいあったような(本当は白玉書房版の塚本邦雄歌集が欲しい)。「悦楽園…」はまた違うし。葛原妙子もあった、かも。否、ないか。まあとにかくワタクシは散文的な人間で、どうも詩歌関係はにぶい上に関心もなかなか向かない。いや、そんなことはなかった、「未青年/行け帰ることなく」(深夜叢書社)は持っていた。でもまあ、本道には興味向かない癖に春日井だ塚本だと当時の前衛追っかけるのも何だかなあというのはある。だがまあ、しかし、この本はちょっと特別だろう。昭和三十年代の、三島、塚本、春日井、中井、寺山、堂本といった、澁澤グループにもちょっとかぶるけれどもまた別であるこの繋がりには興味津々である。その象徴たる本書。「定本黒衣の短歌史」も面白く読んだ。

いや、この値段なので、もしかしたら織り込んで貼付してあるパラフィンも破けていたり、読み込まれて背中がU字型になってしまっていたりするんじゃないか……などと思っていたのだが、これがどっこい、全体的な薄焼け以外はなかなかよい。そういえば、雑誌「律」も集めていた。といっても現在一冊しか持っていないが。草月で開催された「フェスティバル律」のパンフも探している。

これを注文したのは中央線古書展。で、雨そぶる本日、行ってきた。

会場到着は17時15分頃。正味45分の楽しみ、である。でまあ、注文品は事前に電話確認していたのだが、もしこれが今日抽選でハズレとかであったなら、会場にあったアリエス「〈子供〉の誕生」2500円とか佐藤重臣「祭よ、甦れ!」2000円とか欲しかったのだが、諦めた。でまあ、拾ったのは文庫・新書中心。

保田与重郎文庫の「エルテルは何故死んだか」50円をはじめ、講談社文芸文庫が300円、「狂王ルートヴィッヒ」と「悪の論理」が各100円、新書は200円、「銀座百話」は300円。それと、原稿のネタ用にと「人間探求」「風俗科学」の300円、500円。後者は、これ系の雑誌では興味深い記事多く安ければなるべく拾うようにしている(国会図書館にも大宅文庫にもごくわずかしか架蔵されてないので)。
で、18時に会場を出て、まだポツリポツリとしている雨空の高円寺界隈を歩き、都丸書店へ。ここで、「内務省対占領軍」、「皇紀・万博・オリンピック」各200円を購入。いつものように、架線下を歩いて阿佐ヶ谷方面へ。しかしまあ、先週ここは来たばかりだし、ということで、久々に南阿佐ヶ谷駅近くにあるブックギルドにでも行ってみるかと、阿佐ヶ谷パール商店街をトコトコと。
ブックオフが出来たのは知っていたが、ヴェローチェとかあったっけか。商店街で火事で焼けていたところがあった。上島珈琲があったようだ。それでもずっと奥へ。ピーコックもまだ健在。
今からちょうど十年前。アルバイトで虎ノ門に通っていたことがあり、南阿佐ヶ谷から丸ノ内線に乗るためにここを毎朝自転車で通っていたことがあった。確か、商店街のアーケードを抜けてすぐのところに古書店が……と、思っていたが、見あたらなかった。なくなったのか。
で、中杉通り甲州街道がぶつかるT字路に出た。ここの正面のビルにブックギルドが……と、思って探したが、ない。なくなってる。店閉めたのか。まあ、仕方ない。だが、ここから再度阿佐ヶ谷に戻る気力もなく、南阿佐ヶ谷駅そばのミスドで一服してから帰途。店を出ると、雨は止んでいた。