漁書日誌 3.0

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つなわたり古書展

今年ももうこんな季節かと、つまり池袋三省堂古書まつりである。以前は、デパート展といえば、新宿伊勢丹、新宿京王、渋谷東急なんかが春夏とあって、一時期は朝イチで駆けつけたものである。もう渋谷東急もなくなってしまい、デパート展という範疇に入るかどうかわからぬが、都内では池袋リブロ(三省堂)しかなくなってしまった。

で、8月3日火曜日、採点地獄でヘトヘトになりながらも、その上、変異株で感染者数が激増しているというニュースを横目に、夕方、池袋西武へ。

じっくり見て回ったつもりだが、それでも90分くらいかかったか。これはというものこそなかったが、幾つか購入。

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「小説怪物」創刊号500円

杉浦明平「村の選挙」(柏林書房)昭和30年5月31日カバ330円

今井田勲・三枝佐枝子「編集長から読者へ」(現代ジャーナリズム出版会)昭和42年12月10日カバ欠200円

須永朝彦「東方花傳]」(湯川書房)昭和47年5月10日凾2000円

「怪物」はマンディアルグのインタビュー掲載のため。「村の選挙」は〈ルポルタージュ日本の証言〉というシリーズの.1冊。装画と挿絵は池田.龍雄。それから須永朝彦の歌集は、先日著者が亡くなったというのもあり、価格的にもまあよいかと購入。こちらは、装画は塚本青史、末尾には塚本邦雄の掌篇収録、限定150部、毛筆歌署名入りで、本文用紙の小口側の耳の部分が表紙と同じ濃鶯色で染めてある。

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また、活字がなかったのか、いくつかの漢字は凸版で作字ものを用いている。

……さて、ここのところ学校仕事でバタバタしており、幾つかここに書き漏らした古書展について記しておく。

まずは7月30日に赴いた我楽多展。

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国木田独歩「独歩集」(彩雲閣)明治41年7月5日10版300円

福田清人「十五人の作家との対話」(中央公論社)昭和30年2月15日初版カバ帯300円

十返肇「わが文壇散歩」(現代社)昭和31年5月30日初版カバ100円

室生犀星「随筆 女ひと」(新潮社)昭和30年10月8日初版カバ300円

室生犀星「随筆 続女ひと」(新潮社)昭和31年3月15日初版カバ300円

「独歩集」は近事画報社ではなく彩雲閣になってる重版。犀星の随筆は装幀買い。前からこういう装幀であることは知っており、安く出ないかと思っていたところ。

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劇団浪曼劇場プログラム「クレオパトラ」100円

劇団浪曼劇場プログラム「ヴァージニア・ウルフなんてこわくない/デリケイト・バランス」100円

これらも既に持っているが、チケット半券とチラシ、「劇団浪曼劇場ニュース」が挟んであったために購入。

お次は、7月9日に赴いた愛書会古書展。

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フライターク「劇作法」(改造文庫)上巻昭和14年9月16日初版150円

フライターク「劇作法」(改造文庫)下巻昭和14年11月20日初版帯150円

吉屋信子「ペン字の手紙」(主婦の友附録)帙痛250円

福島保夫「書肆「新生社」私史」(武蔵野書房)平成6年12月20日カバ500円

久松健一「書物奇縁」(日本古書通信社)500円

瀧井敬子漱石が聴いたベートーヴェン」(中公新書)150円

「ブックエンド通信」創刊号著者手紙付300円

フライタークは戦後に翻訳は出ていないのではなかろうか。探すともなく探していたもので嬉しい。中原淳一が表紙を飾る吉屋のは、便箋にペン字の例文が印刷されているというもので、無綴じの便箋がドサリと入っている。当時のお手本みたいなものである。「ブックエンド通信」は青山毅編集だが、全記事自分で書いており、春陽堂月報細目がメイン。資料として便利だ。