漁書日誌 3.0

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キャラ枕

尾崎紅葉伽羅枕」(春陽堂明治24年10月20日発行。
写真は架蔵の明治35年7月27日印刷の第9版(何故か発行とは書いていない)。

金もなくこれといった拾いものもないので、部屋の本棚より。

これ、いつだったか本部会館でやった古書展にて3000円で買ったもの。最終日の閉場10分前くらいに棚にあったものである。写真では、表紙左下に折れ跡があり、左上に墨で「進呈」と書いてあるが、本文は極めて綺麗なコンディションで、小口の焼けもなくピンピンであった。

口絵木版は桂舟。多色木版画見開き一葉に、その裏の頁に単色木版にて絵が入っている。

表紙のタイトル表示は「伽羅まくら」で、本文頭では「伽羅枕」。表紙は、ナイロンのようなクロス(こういうのもクロスというのか?)。口絵の前に、眉山による再版の序文が入っている。

まあ「伽羅枕」は、というか紅葉はちょっと話が別だけれども、明治期のベストセラーは元本で欲しいなというのがあり、「不如帰」とか「乳姉妹」あたりは重版でコンディションのいいやつを安く拾いたい、などと今は思っている。

しかしあの辺の、いまで云えば家庭小説というか、ああいうの、当時はまだ「家庭小説」なるカテゴリ分けはなかったろうし、どういう風に扱われていたのか。霞亭の「渦巻」とかになると、重版といえども口絵で高価になってしまうしなあ。
今のところ、木版口絵ついていても何故か人気が無く棚に残っているといえば、露伴ものくらいしかないし……。

しかし、仕事仕事でこのへんをのんびりと読むというのが近頃はサッパリご無沙汰である。