漁書日誌 3.0

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まど展・五反田・池袋

ここのところバタバタとやらねばならぬことなどが溜まっており、うまく消化して進んでいくテンポが乱れて、とても悠長にブログをかく余裕がなくなってしまい、一ヶ月もほったらかしになってしまっていた。数少ない読者の人のためにも、というよりも、自分自身、何をいつ幾らで買ったのかわけがわからなくなり、整理が付かないということもあり、ここ一ヶ月の古書をまとめて整理しておきたい。

6月15日、窓展。
会場ギリギリといういつものパターン。注文品が2点あった。両方とも当たり。

岡鬼太郎「花柳演芸 紅筆草紙」(鈴木書店大正2年2月15日3版夫婦凾付1500円
岡鬼太郎「もやひかさ」(左久良書房)明治41年6月15日3版カバ欠1500円
ここらへん、前はこの3倍くらいの値段していたと思うのだが。共に初版ではないが、痛み本や奥付欠本を持っていたので取り替え用。

慕楠居士「兵役者 入営之心得」(忠愛堂)明治27年11月28日400円
大川白雨「写真小説 愛は輝く」(蛍文閣)大正15年3月1日500円
椒魚生「浜田栄子 恋の哀史」(日本社出版部)大正10年7月17日3版痛700円
入営マニュアルは日清戦争時のもの。巻頭にはカラーによる階級章や制服の説明なども入っている。続く「写真小説」は、とにかく挿絵が多い。何冊か同じような「写真小説」というものが出ているが、もともと雑誌掲載の頃からこういう呼称らしい。そして浜田栄子については、この本を買って初めて知った浜田栄子事件の主役。18歳で身重のまま猫いらずを食べて自殺。大正10年当時スキャンダラスな話題として騒がれた事件である。

森田草平「自叙伝」(春陽堂明治44年12月20日初版900円
西村伊作「楽しき住家」(警醒社書店)大正9年11月20日3版裸背痛400円
馬場孤蝶「明治文壇回顧」(協和書院)昭和11年7月24日初版400円
高階秀爾「芸術空間の系譜」(鹿島出版界SD叢書)凾200円
森田草平の菊版の本は五葉の木版装幀。でもこれよりみっけものだったのは、西村伊作か。表紙写真のこれ、佐藤春夫の「西班牙犬の家」のモデルだったような。

「文芸倶楽部」定期増刊「東京」(明治35年1月)痛400円
「純情」大正11年4月500円
「東京」とか院生の時にチマチマとコピーしたなあというのを思い出した。しかしなんといっても今回嬉しかったのは、「純情」。場にはこれ1冊しかなかった。表紙絵は間司英三郎。少し前に古通に書いた記事にもこの雑誌の表紙を引用紹介したが、あれは近代文学館でコピーしたものであった。これは実物。タイミング良くたまたま見つかるのだから嬉しい。

6月22日、五反田古書展。
夜から北千住に飴屋法水の芝居(「スワン666」)を観に行く予定があり、ダラダラしながら向かったら結局会場には1時間くらいしかおれず、急いで劇場のある北千住に向かったのであった。
で、買ったもの。



「映画評論」8冊、1冊200円
日生劇場文学座、パンフ7点、1点200〜500円
これはダブりもあるが安かったので。文学座の「人と狼」は中に舞台写真2葉が挟まっており、「ハムレット」は、長岡輝子っぽい、誰か文学座の女優宛の手紙入りであった。「映画評論」は65年から75年までの10年分をバラでポツポツ集めているのだが、8割くらいは揃ったであろうか。


「宝石」昭和33年10月号200円
これは1階のガレージで買ったもの。しばらく安く探していた号。江戸川乱歩と、三島由紀夫、松浦竹夫、芥川比呂志杉村春子文学座薔薇と海賊」上演組との座談が入っている。巻頭グラビアには乱歩と三島らがコックリさんをやっている写真も。とうにコピーで読んでいたが、ようよう実物を安く入手。

6月29日、ぐろりや会古書展。

由良君美風狂 虎の巻」(青土社)カバ帯1000円
源円了「義理」(三省堂:一語の辞典)カバ帯300円
バタバタとしていて1時間くらいだけ見る。「風狂虎の巻」は由良の本の中でも欲しかったものでようやく適価入手できた。

7月6日、池袋三省堂大古本まつり

武智鉄二「私の芸術 人生 女性」(ノーベル書房)初版カバ帯500円
三島由紀夫「綾の鼓」(未来社:未来劇場)昭和28年10月15日初版500円
古沢岩美代表作展」図録(日動画廊)300円
中村皎「泥棒日記」(六興出版部)昭和34年10月3日初版500円
「PHOTO」No.71 、1000円
この池袋三省堂は初日が水曜日だったか、もう古本猛者に漁られまくったあとで、正にぺんぺん草も生えないような状況だったが、それでも落ち穂拾い。武智の本は前々から安く入手したいと思っていたもので、一応自伝。「綾の鼓」は未来劇場というシリーズの1冊で、そのまま上演台本として使えるというもの。前に長岡輝子旧蔵本を買って持っているが、まあ安いので。そして「泥棒日記」というのは、前科10犯の男が自分で手口などを紹介したもの。注文していた川島幸希「署名本の世界」(日本古書通信社)凾8000円はハズレ。
帰りにそのまま池袋ジュンク堂に立ち寄って、創刊準備号から買っているが何号か買いそびれている「大衆文化」と文庫本を。

山口果林安部公房とわたし」(講談社α文庫)定価
ミーハーながら、サイン入りというのが平積みしてあったので買ってしまった。無論、元版の時もすぐに買ったのだが、この文庫本では元版冒頭にあった著者のヌード写真が削除され、本文も加筆修正との断り書きがあった。