漁書日誌 3.0

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年明けの革

なんだろう、とりわけ昨年末から年明けにかけて、年末感も正月感もたいそう希薄だった。15年くらい前から希薄だなあと思っていたが、特に今回はただの月末という感じなのである。親戚が来るとか田舎に行くとかもなく、年賀状に力を込めるということもなく、年末正月特番をほとんど見ていないというのもあるのだろう。色々な意味での区切りとして正月というものの意味は小さくないと思うのだが。まあそんなことはどうでも良い。古本である。

佐藤春夫「わが龍之介像」(有信堂)昭和34年9月15日函署名1100円

斎藤磯雄訳「ボードレール散文詩集」(筑摩書房)1967年11月20日ビニカバ函600円

加藤郁乎編訳「日本不思議物語集成4 歌謡」(現代思潮社)昭和48年12月函1500円

「愛蔵版 福永武彦全小説」2巻(新潮社)昭和48年11月25日函巻カバ730円

佐藤春夫のは限定300部背革装署名入。小口天が黒というか乱歩の「探偵小説四十年」と同じく黒っぽい鉛色になっている。これは天銀の変色したものとかそういうものなのだろうか。同書は他に普及版と30部くらいの特装もあるようだ。ボードレールのは、「世界の名詩集」という全集ものの1冊で、おそらく函に巻いてあるカバーが欠。斎藤磯雄の「パリの憂鬱」で背革装だからというのが購入動機。日本不思議物語集成、これは前からちょっと気になっていた本で、実は「アイデア」のオルタナ文学史で初めて知った本。菊倍判で総革装天金、本文多色刷。革の栞付。小口のチリの部分に「稲垣足穂大全」特装版のようなオーナメントが施してある。現代思潮社でなぜこんな本がと思ったが、どこかが資金を出しての委託出版?のようだ。色々出ているようだが、加藤郁乎ということで歌謡の巻を。福永武彦のも、これは普及版とは別に背革装マーブル表紙、布張函の愛蔵版。お気づきのように全て背革と総革装の本。なぜか年末から革装が気になっていて、気づいたらこれだ。新潮社の全集で背革装は色々あるが、福永のが一番美しいかもしれない。

メンデルサンド「本を読むときに何が起きているのか」(フィルムアート社)カバ帯500円

バージャー選集「批評の「風景」」(草思社)カバ帯2500円

こちらはお勉強用。お勉強用の本は高い。バージャーなんてちくま学芸文庫で出てる1冊でいいんじゃないかとも思ったが、ちょっとおさえておこうかなと。

で、正月明けてからまたこんなにも買った上で、さらに古書展はじめということで、愛書会古書展に1月11日土曜日の閉場30分前に駆け込む。ザーッと見て、2冊。

沼正三家畜人ヤプー」(都市出版社)昭和45年2月10日初版函帯汚痛200円

今村秀太郎「やぽんなと白水社本」(古通豆本)昭和53年7月15日500円

ヤプーは初版の帯目的。初版函付はとうに所持しているので。豆本はちょいと白水社の限定本について知りたかったので。「家畜人ヤプー」は初版は角背上製本で本文は墨なのだが、重版は並製で本文は緑色印刷であることは知られているが、帰宅して帯を付け替えようとしたら、同じ初版なのに今回の本と所持本が少し異なっていた。まずタイトルが今回のはオレンジ色印刷だが、所持本は青。しかも函の材質が明らかに異なっている。上述のように初版は上製本でチリの分重版より大きく重版の函を流用することはできない。謎だが、在庫返品分とかだろうか。

以下、最近買った新刊書。