漁書日誌 3.0

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連休渋谷フェス

土曜日、神保町に出るも古書展は無し。扶桑事務所にて、武者小路書房さんより古通目録注文品のコミマサ本を受け取る。

田中小実昌「上野娼妓隊」(講談社)昭和43年8月5日初版カバ1000円
これは前々から読みたくてケチケチ安く探していたもの。ノガミの警視総監殴打事件をモデルにした短篇などを収録。森達也「男娼の森」やら唐十郎下谷万年町物語」でも取り上げられたあの事件である。

ツイッタのタイムラインで、渋谷で古本市をやっているというようなツイートを幾つか見かける。ちょいと用事で渋谷に出るので、これはちょっと立ち寄ってみようと思っていた。会場はロフト9とあるのだが、どこだかわからない…写真を見て、ああシネマヴェーラ渋谷の下のところかと気がつき、早速夕方覗いて見る。LOFT9 BOOK FES.2018である。面白いのは、単にズラリと古書の棚が列んでいるのではなく、それぞれブースになっていて、売り子がおり売っているという点。いままでこういう道端古本市みたいなのは行ったことがなかったので、新鮮であった。で、そこから2冊。

石原吉郎「望郷と海」(ちくま学芸文庫)初カバ800円
「映画評論」昭和43年12月号250円
「映画評論」は持っていなかった号。昭和40年1月から昭和49年12月までの10年間分を安価で集めているのだが、残りはあと数冊。「望郷と海」は、これも文庫版で欲しかったもの。ちくま文庫版のあとにちくま学芸文庫版が出ているのか。普通にちくま文庫で重版すればよいのに。
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小村雪岱挿絵集

小村雪岱挿絵集

小村雪岱挿絵集」が満を持しての発売。畏友・真田幸治が精魂傾けた編集で、いままでの一面的な雪岱イメージを大幅に塗り替えるような画期的な仕事である。よく知られた「お伝地獄」だけではない豊饒なイメージ空間の展開はようやくこの1冊で把握できるというもので、マイナーどころを多く収録。前の「小村雪岱随筆集」と双子になる装幀造本だが、挿絵の多く掲載された大正から昭和初期の文芸誌のサイズでこれでもかと雪岱ワールドが展開されている。とかく表面的なイメージのみで語られがちだった雪岱も、真田君のこの2冊を以てはじめて本格的な研究がはじまるのだろうなあ。