漁書日誌 3.0

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煙草の造本

ちょっと面白い造本の本を地元の古本屋で見つけて買ったので、短いけれども投稿。
今日ちょっと地元繁華街にでたついでにいつもの古本屋をチラと覗いていってみると、ちょっと変わった本がある。安かったので買ってみたもの。

中島河太郎編「ポケット・ミステリィ」(光書房)昭和34年7月25日初カバ帯500円
竹下彦一「萩香集」(自家版)昭和16年4月5日非売品限定100部記番500円
前者はともかく、後者の歌集。これ、なんてことないような豆本だが、表紙は布装の上製本で、表紙と見返しを覗いた本文がすべて煙草のホープの空き箱を伸ばして使用されているというもの。ある種の下手物装ともいえるかもしれない。
冒頭には「ホープ」のパッケージが、そして本文は表裏白の(つまり筒型のパッケージに収まっている部分)ところが、上下切除され正方形の形になっており、表面のみ1首ずつ印刷されている。中には挿絵も入っており、なかなか凝ったつくり。


ちょっと検索してみれば、昭和2年に「朝鮮愛慕詩集」というのを出しており、戦後も詩集や句集、民謡集やらあれこれと出している。豆本もチラホラあることから、装幀に一言ある趣味的なものであったのだろう。いままで斉藤昌三あたりの下手物装とか変わった装幀については知っているつもりであったが、全頁が煙草の内箱っていうのは初めて手にしたものであった。