漁書日誌 3.0

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梅雨まだ明けぬ我楽多展

金曜日である。しかし暑いなあとダラダラしていたら、家を出るのが遅くなってしまい、駅まで行ってみると、今から赴こうとしていた五反田遊古会古書展は閉場に間に合わなさそうであった。では行き先変更と、本部古書会館の我楽多展に目的変更。17時半には新御茶ノ水に着くかと向かう。

17時40分頃、古書会館に到着。我楽多展ってどんなんだったか…実はほとんど期待していなかった。五反田ならば何か面白い拾いものがあるだろうけれども、我楽多展ではなあといった具合。が、そんなことはなかった。というか、ワタクシが無知なだけであったが、おどりば文庫やけやき書店なんかも参加していたのかと後から気がつき。しかしまあそれでも金欠時ではあり、厳選して雑誌を3冊のみ。

「文芸倶楽部」第9編(明治28年9月20日発行)口絵欠500円
「性」(大正10年10月)300円
月刊文章編輯部編「明治の文学」500円
しかし「文芸倶楽部」は嬉しい。樋口一葉にごりえ」の初出。口絵欠だがコンディションもよく、この値段ならば大満足である。「明治の文学」は今で言えばムックみたいなものか。「性」は安かったので参考資料にと買ってみたものだが、表紙下部になにやら蔵書票が貼付してある。「……禁書/……蔵」と部分的にはわかる。なんと書いてあるのかわからなかったが、後からネットで詳しい人に聞いてみると、「是風禁書/長尾桃郎蔵」となるであろうことが判明。

長尾桃郎……ということは、おそらく大阪府立大学に入っている「長尾文庫」と同一のコレクションなのであろう。左翼労働運動関係が大学に、その他のジャンルのものは市場に出たのかどうか。ともあれそのなかの発禁本コレクションの一冊らしいのである。ということは、この「性」4巻4号変態性欲号は、発禁雑誌だということになる。最初“桃郎”という名前からすっかり大倉桃郎と取り違え、「琵琶歌」の作者は後年コレクターになったのかしらんと訝しんだことであった。
(追記7月15日)長尾桃郎の発禁本コレクションは売却され、「浪速書林目録」10号(1980)発禁本特集のベースになったという、この「性」もその目録に掲載されている由。
ついでにいえば、上記の「文芸倶楽部」、古書会館を出て一通り古書店を見てからさて一服と入った喫茶店でパラパラ見ていたら、短歌の投稿欄に鳳晶子(与謝野晶子)の投稿を見つけた。

前の所有者も知っていたのであろう、赤鉛筆でチェックが入っている。
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最近この他に買った古書など。

太田静子「斜陽日記」(石狩書房)昭和23年10月15日初1000円
稲垣足穂「僕の“ユリーカ”」(南北社)昭和43年6月25日初凾背焼帯欠500円
「斜陽日記」はネットオークションで思わず入札してしまったもの。状態がよい。足穂のは、マケプレで安かったので。これは単行本で欲しかった。装幀は山本美智代、意匠は高橋睦郎。それから以下のは新刊購入。

柏倉康夫訳「新訳ステファヌ・マラルメ詩集」(私家版)限定100部記番
ここで注文して購入した。頒価2000円。先に雑誌発表したものを電子書籍として発売し、そしてこの和紙刷私家版をという流れのようである。