漁書日誌 3.0

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買った本、いただいた本

いただいた本。もうかなり前にいただいていたにもかかわらず、ここでの紹介が遅くなってしまったもの。

反戦後論

反戦後論

浜崎洋介反戦後論」(文藝春秋
畏友・浜崎洋介氏の文芸評論家としての仕事、福田恆存論に続く単著第2弾。ここ一年くらいの三島論やロマン主義文学論ほか凝縮された良質の批評が集められており、何より切っ先の鋭さがそんじょそこらにはない特徴かと。改めて単行本で読み直したいと思います。
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Tri4号「サラダ記念日」1
Tri5号ろんそう
同人の花笠海月氏よりいただいたもの。4号の花笠氏の論は「サラダ記念日」初版8千部だったものが、どのような重版具合で重刷されていったのか、単行本393版とその後の文庫版をも綿密に追いかけた、ベストセラーの生態学的な労作。続く5号は戦後短歌史における論争のゆくえと意味を考えるもので資料としても有益なものとなっている。
中上彩子編「藻塩草 竹富義夫さんのこと」非売500部
翻訳関連会社の社長であり鴎外コレクターでもあった竹富さんの追悼録。ワタクシは、十年以上前に面識を得、酒席の輪に入れていただいたこともあったが、たいていは神保町で会えば挨拶してたまに軽く立ち話する程度。いつもニコニコしながら酒と古書の話をしている気さくな方という印象が強い。いつだったか、神保町のバー人魚の嘆きで「牧水の紀行文はいいよ、君、牧水は?」といわれて、その後改造文庫の一冊を買って読んだなあなどということなどが思い出される。
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で、最近の古書であるが、先日ここに書いた直後に扶桑書房の自然主義特集の目録が到着。巻頭カラー口絵には徳田秋声ほか外装付の珍しい書影が出ていたが、勿論手の届くものではなく、エイヤと1点のみ注文したのが「留女」。ほかは、地元の古書店を見ていたら何故ここにあるという感じで見つけた本、ネットオークションで落札した本という具合。神保町に行ってないのに、かなり散財してしまった。もっと抑えないと懐具合も厳しい感じである。


志賀直哉「留女」(洛陽堂)大正2年1月1日初版凾欠6500円
蘆川忠雄「読心術修養」(実業之日本社明治40年12月13日500円
福原信三「光と其諧調」(社新芸術社)大正12年3月30日第2版凾付2000円
吹上佐太郎「娑婆」(百貨商会出版部)大正15年10月3日再版2000円
まあ志賀直哉は興味ないけれども、やはり「留女」は最初の本ということもあって手を出した。しかし前は凾欠でもこの値段では買えなかったような。それから「読心術修養」は、実業之日本社から出ていた「精神修養叢書」第2編。いわゆる「修養主義」が盛り上がってきた頃のものであるが、こんな叢書が出ていたのは知らなかった。読心術ということで、中をちょろっと読んでみると相貌によって人間の性格が分かるとか書いてあり、ロンブローゾ系の言説とも接近しているかと興味を持った。
「光と其諧調」は本当に嬉しい。「巴里とセーヌ」は限定版だしかなりの古書価、重版を重ねた「光と其諧調」くらいはと思うも、たまに古書目録に出るのを注文してもいつもハズレていた。この値段で買えたのは嬉しい。それから「娑婆」は、たまたま今日出ているのを見つけて買ったもの。本当は確か帯がある筈。城市郎の本でむかし読んだことがあったが、強姦殺人鬼が死刑執行される直前に書いたという自叙伝。どういう人かはここを参照。発売禁止の筈だが、これは2版であった。初版と2版では何か中身に違いなどあるのであろうか。
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最近、本屋で買った本。
夫・車谷長吉

夫・車谷長吉