漁書日誌 3.0

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愛書会と紙魚展

先週の愛書会古書展には行けず、今回の紙魚展はまあ閉場時間ギリギリでなんとか滑り込みという感じ。
ザッとまわるも、やはり10分では回りきれず。紙魚展はけっこう面白い本屋が入っていて、時間かけてまわれば何か面白そうなものでも掘り出せたかなと思ったことであった。今回の紙魚展の目録に、ひぐらしが奢灞都館の特装本「閉ざされた城の中で語る英吉利人」を5万円で出していて、往時ならこの4倍はしていたのになあと思っていたのであった(無論注文せず)。
で、結局会場では新書1冊のみ。ただし、注文品は当たっていた。

島薗進国家神道と日本人」(岩波新書)200円
三四郎「それからの漱石の猫」(日本書院)大正9年6月10日10版裸2000円
注文品は「それからの漱石の猫」である。この本自体は、昨年の秀明学園での漱石展にも展示されていたので知っていて、お安く欲しかった。前に、例えば「不如帰」の便乗モドキ本とかパロディ本などいくつか買ったことがある。明治のおそらく家庭小説あたりからだろうか、ベストセラーにあやかった似ているタイトルの全く別物小説とか勝手な続編とか、まあ便乗モドキ本と呼んでいるが、そういう類のものがあれこれと出ていて面白いと追いかけていたのであった。今回の著者三四郎は誰なのか知らないが、著者序文を読むと、生前の漱石に「猫」をラストで死なせてしまうのは惜しいと訴えていたそうで、勝手に続編を書いて漱石本人に見て貰おうと思ったがそれも厚かましいかと逡巡しているうちに漱石が死去してしまい云々ある。猫をよんだ漱石の句の口絵も入っている。しかし三四郎、それから、猫、と3種も漱石作品使っているし、やっぱり便乗だろうああ。
それから、右にというか下に敷いてあるのが「プロゼルピーナ」のプログラム。

「プロゼルピーナ」プログラム3000円
これは先週の愛書会古書展での注文書で、行けなかったので郵送してもらったもの。ゲーテの翻訳を三島由紀夫が訳したもので、それを堂本正樹が構成演出で能形式で上演したもの。プログラムといっても、赤とベージュの紙片が無綴で挟み込まれているだけの簡素なものだが、これをモノクロコピーしようとすると赤の方など黒くなってしまい字が読めず、前に上演一覧を作成したときは堂本先生のお持ちになっていたものをカラーコピーさせてもらうしかなかった。今ようやく実物を入手。三島由紀夫澁澤龍彦が寄稿している。平日の昼11時と14時半と2回上演しているが、まあ勤め人は来られなかっただろうし、プログラム自体多くは作られていなかっただろう。