漁書日誌 3.0

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日曜の重量

新宿展、初日。
今回はまあ全部は当たらないだろうなあと3点注文していたのだが、幸か不幸か全部当たってしまった。正直、懐がお寒い限り。新宿展、いつもは月曜日つまり最終日の終わり頃にサッと覗くだけという感じであったが、今日は都内に出る用事があったために初日の今日ということになったのである。それはそうと、重い。収穫の本、今日はおそらく10キロ超えている。といっても、文庫入れて4冊だけなのだが。


三島由紀夫仮面の告白」(講談社)昭和46年11月25日限定千部凾外凾汚6000円
正岡容集覧」(仮面社)昭和51年7月7日限定1500部凾外凾4000円
木村洋「文学熱の時代」(名古屋大学出版会)カバ帯1800円
川村二郎他「翻訳の日本語」(中公文庫)カバ帯250円
竹本健治匣の中の失楽(新装版)」(講談社文庫)署名入定価
匣の中の失楽」はネット古書店で別に買ったもの。目録注文品は文庫以外の3点である。背と表紙の枠が鉄で表紙がガラス装の「仮面の告白」は前に凾欠を買ったが、外凾もついてこの価格なのでいってしまった。しかし昭和46年で定価5万円もして、1000部も発行して売れなかっただろうなあ。もしかして今でも倉庫に当時の在庫あるんではないかと思うくらい。外凾は汚れているが、今回は中身は良好。しかしこんなどでかい重たいオブジェみたいな本、買ってみたところでパラッと見て、あとはしまい込んでおしまいだろうなあ。何故ワタクシはこういう無駄な買い物をするのだろう。仕方ない、三島の本である。この本は没後刊行だが、編集担当は松本道子氏でちゃんと生前にこういう装幀で出すという打ち合わせを三島と済ませてある。

そして正岡容。これも外凾は薄汚れやポツポツ黴が出ているが、中身はきれい。未読状態で売り上げスリップもそのまま。もしかしたら版元倒産時にでも出た在庫を安く引き取って倉庫に…というパターンかしら。これも安くなった。一寸前まで1万円はしていたと思うのだが、今時こんなデカ過ぎる本は売れないわな。

どうせならこんなデカい扱いづらい本にせずに(しかも中身は3段組である)、随筆編、創作編と2分冊の菊版あたりにしてくれていたらよかったのにとも思う。本当なら、これの外凾欠を3千円くらいならなどと、いやいや、ちくま文庫あたりで「正岡容モダニズム小説集」みたいのが出るならそれで済ませたいとも思っていた。デカいし重いし三段組だしで、図書館用の本というか大きくて書棚にも収まりづらいし読みづらいしいちいち二重凾だと出して見ようという気がそがれる。
重くて重くて持ち帰るだけで本当に疲れたし、浪費感も疲労に輪をかける。こんな本、買っても読みづらくて、おそらくまた取り出すということも数年先にあるかどうかだろうしなあ(正岡容は別だが)。
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無名塾秘演2015冬「近代能楽集」葵上・班女・熊野@仲代劇堂、演出・赤羽秀之
この順番で3本続けての上演。以下メモ的に覚えを。合間合間に、安楽椅子に腰掛けた背広の紳士が読書しているというシーンが入っていた。「班女」の花子は和服姿。和服姿の花子は初めて見たかもしれない。NLTで村松英子が花子やった時はそうで、当時のパンフ掲載の舞台写真などを思い出した。ラストの「素晴らしい人生」というセリフも思い入れタップリではなくサラッと流すような演技。それから「葵上」はヨットは出てこず。看護婦は明治大正期の看護婦制服のような格好でかなりコミカルな演技。ヨットのシーンではヨット自体は出さず、光が六条の催眠術にでもかけられたような(肩を撫でたりあたかもメスメリズムの施術のように見えたのである)演出で、光はずっと半睡半覚のような演技。このシーンでハッキリこういう演出をしているのは初めて見た。葵は叫びもあげずごくあっさりした仕上げ。「熊野」は前にどこかの劇団がやったのを一度見たが、それ以来かもしれない。俳優が一定の水準を保ち、よく見ていると演出も今までの上演を意識したのか独自のものがあるように見えた。12月20日昼所見。