漁書日誌 3.0

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すっかり秋な窓展

まだ8月である。しかし今日は半袖では寒かろう。ここ数日そういう肌寒い・とても8月とは思われない陽気が続いている。もう夏も終わりかというのを一段飛び越えてもう10月のような身体感覚が、あれまだ8月だよなあという認識と齟齬を起こしたような、そういう陽気なのである。今にも雨が降りそうな曇天の今日、窓展の初日。寝不足もあって遅刻し、今日は開場から30分経過した頃に会場到着。あきつの棚を中心に見ていくが、ほとんどこれといったものがない。
それでも目録注文した本は2点とも当たり、その他にも幾つか会場で見て買った。

大和屋竺「悪魔に委ねよ」(ワイズ出版)カバ1500円
笠原和夫他「映画脚本家笠原和夫 昭和の劇」(太田出版)カバ2000円
共に目録注文品。大和屋のは出版当時から古書で安いのをとケチケチ探していたが、これは最安だったので注文。しかし、両方とも分厚いうえに重たい。お次は、会場で買ったもの。

グルー「東京報告」(日本橋書店)昭和21年1月10日発行200円
西岡武良「愛書異聞」(沖積社)凾500円
佐木隆三「政商小佐野賢治」(徳間文庫)カバ100円
青木宏一郎「江戸の演芸」(ちくま新書)カバ200円
平井玄「愛と憎しみの新宿」(ちくま新書)カバ200円
「東京報告」というのは、正義のアメリカが「日本国民がこんなにあくどい軍部に騙されていたこと」を教えてあげます、みたいな本。こちら方面では有名な「真相箱」なんて本があるが、同じくGHQによる被占領民洗脳本の一種であろう。西岡武良という人は、雑誌「南北」の編集者、仮面社(たぶん)を経て冥草舎というリトルプレスをやっていた編集者。私淑する島尾敏雄など作家との交流や本との出会いを描いたエッセイ集。冥草舎といえば、ここで出したローデンバッハの「死都ブリージュ」は好きな本である。あのツルツルした凾表紙はポツポツ黴が出やすいものであったが。
途中、昼食に抜けたりお茶に抜けたりしながらも、午後また一通り見て、会計。なんだか今日は朝からテレビクルーが入っていて、会場の客何名かにインタビューをしていたようだ。
こうしてまた浪費をしてしまい、分厚くて重い本などという置き場所に困るものを買ってしまった。
そういえば、先日落札し昨日届いた本がある。

池田錦水「奥様と嬢様」(大学館)明治35年4月26日発行カバ付500円
全く知らない本であったが、あの大学館の本だしカバーもついているというので入札してみたもの。口絵4枚入り。カバーはうっすら下地が透けるようなごく薄い紙。届いて少し読んでみると、当時の上流家庭における奥様とお嬢さんを研究するという体裁の本で、細かい日常の立ち居振る舞い、言動、嗜好などがあれこれ記されていて面白そうな本である。まあ上流でなければ、ご新造さんとかおかみさんだのって呼称であろう。
まあ今週は、「風信」と「奥様と嬢様」があったからいいか。
例によって興味のある本。バラバラに並べます。

プロパガンダ戦史 (中公文庫)

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存在と時間 1 (古典新訳文庫)

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薬包装の近現代史

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評伝 三宅雪嶺の思想像 (和泉選書)

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分析美学基本論文集

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青線 売春の記憶を刻む旅

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