漁書日誌 3.0

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新宿ぐろりや連続週

まずは日曜から月曜まであった新宿展。注文品があり、当たっていたので月曜日の夕方に会場へ向かう。閉場30分前の15時半過ぎに到着、ザーッと見る。会場では演劇パンフが幾つかあったのでついでに購入。

塚本青史「わが父塚本邦雄」(白水社)カバ帯1300円
演劇集団雲「真夏の夜の夢」公演パンフ200円
劇団四季公演「バルコン」公演パンフ200円
横溝正史「真珠郎」(角川書店)昭和51年9月20日復刻凾600円
雲のは、文学座から分裂して最初の公演のもので、機関誌「雲」創刊号。三島ほかのお祝い寄稿がある。分裂記者会見前日に新劇団に誘われて「三島もとうとうオレの軍門にくだったか」と福田恆存が語ったが結局は三島は断って文学座に残ったという水面下での動きは、当然当時おもてでは誰も知らない。劇団四季のは、宇野亜喜良が宣伝美術で水田晴康が翻訳演出している。で、塚本邦雄のが注文品。新品同様を定価の半額で入手出来た。ただまあ塚本については、これだけでは片手落ちで、「塚本邦雄の青春」(ウェッジ文庫)も共に読まないとならないだろうなあと思う。
それから「真珠郎」は、古書会館を出たあとに田村書店の外ワゴンを見たらあったので買ってみたもの。昭和12年4月六人社刊の初版本の復刻場。本文は印影版であり、あれ、ほるぷのやつでこんなのあったかなと思ったが、角川が復刻したものであった。奥付には「限定版」とあり定価の記載がない。復刻された元奥付は、検印紙のみ本物の検印が捺され貼付されていた。題字谷崎潤一郎、序江戸川乱歩、口絵松野一夫、装幀水谷準という豪華なもの。これ、検索してみると、どうも角川文庫で横溝フェアやった時の懸賞賞品だったようで千部刊行されたようである。復刻だけれど、まああんまり見ないしよいか、と購入。しかし角川はフェアであれこれとやるなあ。前は同文庫での森村誠一フェアで、総革天金署名入の単行本版「人間の証明」なんかを懸賞の賞品にしていたし。文庫なども総革天金にして、著者に贈っていたようだ(神保町の某古書店に数冊売っていたが、これ何万部突破記念とかで作成されたものであろう)。
で、今日のぐろりや会である。実は今日は土曜で17時までであるのをうっかり忘れ間に合わず。まあ浪費せず済んだと思えば。その後、古書モールやら秋葉原ブックオフやらまわって購入したのが以下の文庫や新書。

中村真一郎「色好みの構造」(岩波新書)200円
阿部謹也「教養とは何か」(講談社現代新書)250円
阿部謹也「世間とは何か」(講談社現代新書)108円
森銑三柴田宵曲「書物」(岩波文庫)108円
「潤一郎ラビリンスX分身物語」(中公文庫)460円
ここに記すほどでもないような本。しかしまあ、「潤一郎ラビリンス」はこの10巻を以て全16巻ようやくコンプリート。思えば定価で買ったのは2冊のみで、ほかはケチケチ古書で安く探して10年はかかったか。当時は出るまいと思っていた新谷崎全集も発刊される世の中になってしまった今更感。
と、そういえば昨日も地元古書店を覗いて幾つか買ってしまっていたのであった。

竹内時男他「我輩は電気である」(畝傍書房)昭和17年3月5日初版500円
葛西善蔵感想集」(改造文庫)初版300円
臼井史朗「弟子三尺」(淡交社)カバ帯300円
菅野覚明神道の逆襲」(講談社現代新書)250円
厚香苗「テキヤはどこからやってくるのか?」(光文社新書)350円
「電気」は戦前「猫」パロディ本として。「弟子三尺」は、淡交社で「日本の庭」というシリーズ出した時に「仙洞御所」を三島が執筆し、その時のエピソードを担当編集者が回想したものなのである。かつて国会図書館でコピーしたのにもかかわらずすっかりその存在を忘れていた。かつて「三島由紀夫と編集者ノート」という論文を書いたことがあって、そこに三島関連編集者の文章一覧を掲載したことがあったのだが、あの時これ忘れて抜かしている。ほかにもいろいろわかったこともあるし、いずれ増補しないとなあ。
そういえば、西荻窪古書店・盛林堂書店で山田一夫の本「初稿・夢を孕む女」を限定出版するという。