漁書日誌 3.0

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ひさびさの中央線古書展

正に久々である。先日届いた中央線古書展の目録に出ていた本で、定価が7千円近くするのが水シミで1500円というのがあった。お、これはお買い得と注文を入れると当たる。で、取りに行く仕儀となった。本当は早めに行って切り上げてから、世田谷文学館にまわって今日が初日の岡崎京子展でも…と思ったが、ダラダラして家を出るのが遅れて無理になった。
17時過ぎ、高円寺駅下車。高円寺自体半年ぶりくらいだろうか。これぞというものがないと、まずは西部古書会館に行かなくなってしまった。

ひさびさに古書会館に上がり込んで、ザーッとまわる。しかしここは、本部会館と構造が違って狭いとうのもあるからなのか、帳場の連中の雑談とか馬鹿話がうるさくてかなわぬ時がある。今回は棚に列んでいる本も全体的に小汚い印象。前は神保町よりこちらの方が好みだったのだが、なんだろう。たまたまか。棚3列ほど全部100円とか、廉価DVDをザーッと並べたりというような棚もあった。で、注文品だが、表記されていなかった凾と帯がちゃんとついていたのはよい、しかし水シミというのが頁が湿り気でうねっているのかと思いきや、完全に黴。写真ではわからないが、本体の白い背下部にただれたように赤黒い黴シミがあってガックリ。キレイな装幀なので余計際立たされる。安いんだから当たり前なんだろうか…。

恩地孝四觔装幀美術論集「装本の使命」(阿部出版)凾帯水シミ1500円
岩田準一画文集「竹久夢二その弟子」(桜楓社)初カバ300円
相良亨「武士道」(講談社学術文庫)200円
西研「集中講義!これが哲学」(河出文庫)450円
岩田準一は、乱歩と濃い仲であり「孤島の鬼」の箕浦のモデルともいわれ、「本朝男色考」の著者でもある。岩田の孫が「二青年図」という準一乱歩の小説を発表してもいる。今回この本を買って夢二との関係など改めて知った次第だが、それ以上の個人的な収穫は、岩田準一と雑誌「鬱金帳」「象徴」との関係がわかったことであった。黒石なんかのマイナーな雑誌。
その後、阿佐ヶ谷まで中央線の高架下を歩いて行く。あの冷え冷えとした蛍光灯の連なった薄暗い通りというイメージだったが、何と今はアニメストリートと称しソレ系の店舗が連なっていた。変わるものである。阿佐ヶ谷ではパサージュにある古書店を覗いてから(店の奥から壮絶な親子げんかの怒声が聞こえてきてしばらく止まなかったでの早々に出て来た)電車で荻窪へ。ここも久々のささま書店へ。

多田智満子・村上芳正「四面道」(思潮社)昭和50年9月1日凾外凾2100円
村上芳正の大判の挿画が入った散文詩画集。前に村上芳正展で見たことがあったので、ああこれが実物かと、不急不要であるにもかかわらず買ってしまった。ホントはほかにあれもこれもと抱えていたが、全て戻してこれだけに。今だったらこんなに贅沢な装本は無理なのだろうなあという感じで、古書価はこんなものなのかと思っていたが、あとで日本の古本屋で検索したらけっこうゴロゴロしていて、そんなものか、と。