漁書日誌 3.0

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サロメほか

平野啓一郎訳、宮本亜門演出「サロメ」@新国立劇場。本日マチネ。(以下ネタバレ的に書きます)

まず舞台が奈落に水を張り水牢となっており、その上が舞台という二重構造、その上で、紗幕で舞台奥の食堂と手前の応接室と区切って垂直、水平と共に二重構造になっている。場所はどこかヨーロッパの小国のデカダンな貴族の現代的な屋敷のよう(大型TVなどがおいてあり、食堂で客相手に嫌な顔してるサロメが中継されている)。兵士は詰襟制服に小銃。そこにパッと見シュミーズのようにも見える白のドレスで、片手にテディベアを抱いた多部未華子サロメが登場。ラスト近くの血の海の効果(あそこまで大量に出すとは!)が強烈であった。死だの破瓜だのの象徴というのもあるのであろう。でも何故か生々しくない。おそらく妙に官能的すぎるサロメではないもの、つまりある無垢な小娘としてのサロメみたいなものを狙っていたのではあろうけれども、ただ淡々と進み、その無垢のなかに狂気や恐怖がほの見えることもなくそのまま終わってしまったというような感想。そしてまあ、七つのヴェールの踊りはちょっと期待していただけに……多部の可能性をもっと引き出せたのではと思ったことであった。しかしさすが宮本演出だからか、テンポのある進行によってだれた部分はなかったように観られたのが救いの100分であった。

上記は最近購入した本。

随筆集 一日

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みみずく偏書記 (ちくま文庫)

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以下は近刊で興味のある本。
大正大震災 ─ 忘却された断層

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会社員とは何者か? ─会社員小説をめぐって

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ヘーゲル「精神現象学」入門 (講談社学術文庫)

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