漁書日誌 3.0

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第5回扶桑書房一人展!


正午開場なのだが、ギリギリ会場到着。今回はあらかじめ整理券を入手していたお陰である。扶桑書房の一人展も今回がラスト。しかしもう初回から五年も経過したのかと感慨深いものがある。あれやこれやと一人展には毎年お世話になったものだ。
で、正午一斉に開場、さすがに青展のような押し合いへし合いもなく終始おだやかな会場だが皆手が早い。ほぼ最初の一時間で勝負が決まり、あとはセレクトタイム等。で、最終的に購入したものを以下に。

本間久「小説 枯木」(良明堂書店)明治44年2月20日3版裸背痛1200円
夏目漱石「四篇」(春陽堂明治43年9月15日再版凾欠2500円
岡鬼太郎昼夜帯」(左久良書房)明治39年9月15日3版裸痛2500円
「枯木」は前々から安く欲しかったもの。漱石からの載せないでくれと書いてある書簡を載せたり、鴎外に無理矢理ゲラをつきつけて読んで推薦文よこせと迫って書かせたり、なにやら無茶で一体どんなもんか読んでみたかったのである。今回初めて手にしたが想像よりもかなり分厚い。「四篇」は「夢十夜」入っているし五葉の装幀もよい。「昼夜帯」はちょっと痛みがあるけれども、清方の多色木版口絵は無事。

田山花袋「村の人」(如山堂書店)明治41年2月25日初版裸水シミ痛300円
永井荷風「牡丹の客」(籾山書店)明治44年7月20日初版凾欠2800円
渡辺均「蜘蛛」(大阪日日新聞社)大正13年7月5日初版裸1500円
藤田嗣治「腕一本」(東邦美術協会)昭和11年12月22日初版凾普及版1500円
荷風はこれで胡蝶本分は揃った。初版で大きな痛みもなくこれは安い。「蜘蛛」も欲しかったし適価がうれしいところ。「腕(ぶら)一本」は凾背がちょっと痛んでいるが本体は復刻版のようにピンピンである。

長田幹彦「見はてぬ夢」(玄文社出版部)大正11年2月1日5版凾欠500円
谷崎潤一郎「無明と愛染」(プラトン社)大正13年8月5日8版凾美300円
谷崎潤一郎春琴抄」(創元社昭和8年12月10日初版帙2800円
平山蘆江「吉原文庫」(住吉書店)昭和28年1月1日初版カバ300円
磯貝勝太郎歴史小説の種本」(こつう豆本)300円
松崎天民「淪落の女」(磯部甲陽堂)大正2年4月20日5版裸3800円
福田久賀男「探書五十年」(不二出版)カバ500円
天民のが目録注文品。帰宅したら届いていたものだ。しかしこの中では「春琴抄」も大した痛みもなくこの価格とはかなりの安値だが、「無明と愛染」は重版ながらピンピン。元パラがついており、総革装のこの本はどの本も必ずと言っていいほど背中が茶色くなってしまっているものばかりだが、今回入手した本は元パラのお陰か全体的に元々の深緑色で背の箔押も完全な状態。「探書五十年」は会場ではなくて、今日は特別に営業していた扶桑書房事務所にて購入。渋いところの興味深い話があれこれと出ている。
いやあしかし買ったものだ。あーしかし、これでかなり懐が寒くなった。年は無事越せるのか。

ヒタメン  三島由紀夫が女に逢う時…

ヒタメン  三島由紀夫が女に逢う時…

上記「ヒタメン」著者より恵贈頂いた。感謝。いま夢中でじっくり読んでいる途中です。