漁書日誌 3.0

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ぐろりや会

ぐろりや会古書展初日。新御茶ノ水駅前の楽釜うどんで腹ごしらえしてから会場へ(ちなみにここはお汁がぬるい)。
注文品はない。16時過ぎに会場到着、ザーッと見る。


後藤宏行「陥没の世代—戦後派の自己主張」(中央公論社)カバ帯300円
唐沢富太郎「日本の女子学生」(講談社ミリオンブックス)200円
リュック・ブノワ「秘儀伝授」(白水社文庫クセジュ)200円
広津柳浪「絵師の恋 前篇」(春陽堂明治39年3月15日初版カバ欠ムレ口絵虫喰2100円
まあ新書三冊に「絵師の恋」ということだが、「絵師の恋」は最後まで逡巡した。というのも、まあ前篇だけというのもあるし、ムレはまだしも木版口絵の虫喰いが気になったからだ。まあこの価格も微妙でうまいところだ。三千円では絶対売れないだろうし、千円だったらすぐ売れる。虫食いも微妙で、メインの人物には全くかかっておらず周りの背景部分に少しあるという感じ。広津柳浪も短篇なら岩波文庫はじめ博文館の柳浪叢書とかで読めるのだが、長篇は読めないし(いや無論、柳浪全集があるが、あれは高いし別に全集まで揃えようとか図書館で借りて読破とかいう気もない)。それでも二千円は高いなと思ったが、まあ気長に後篇をバラで見つけるしかないか…。
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古書展のあとは、少しだけ古書店を見てから京橋のフィルムセンターへ向かう。
19時より、草創期のアニメ映画「なまくら刀」(大正6年)「浦島太郎」(大正7年)、そしてドイツ表現主義映画「朝から夜中まで」(1921)を生演奏の伴奏付きで見る。カイザーの戯曲の方は、前に戯曲本買って読んだのだが、なんか戯曲とは別物の印象。セットと衣裳(といっても男子の服装だけ)以外どこが表現主義だ、というような感じでもあったが、競輪場のシーンで自転車が疾走するところなんかは歪んだレンズ(魚眼?)での撮影なのかエフェクトかかっている。このフィルム、ドイツ本国にも残存せず、日本に世界で唯一残されていたフィルムであるという。それをドイツに送って欠損していた当時のタイトルなんかを当時のように復元したものが今回上映のもの。演奏も、単にピアノのBGMだけではなく、吹雪の音とか扉ノック音、それから自転車レースのビュンビュンいう音なんかをシンセで入れていた。BGMはわかるが、そういう効果音とかって当時考えられなかったわけだから、新たな解釈だよねえそれ。公開当時の雰囲気に近づけた復元版というよりも、新たな解釈で音つけちゃった2010年版とでもいうべき新バージョンということか。


以下は、今日新刊書店覗いてちょっと気になったもの。

反アート入門

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蒐集行為としての芸術

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精神の危機 他15篇 (岩波文庫)

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