漁書日誌 3.0

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残暑下の古書

ようよう涼しくなったような感じだが、今週はじめは本当に暑かった。30度で涼しく感じるっていうのはやはり異常気象の類なのだろうか。まあそんなことはどうでもよいのだが、本である。古書である。といっても、定価購入した新刊書に古書。


石神茉莉「音迷宮」(講談社
エンツォ・トラヴェルソ全体主義」(平凡社新書
外村彰他編「したむきな人々—近代小説の落伍者たち」(亀鳴屋)限定544部記番
鈴木敏也校注「上田秋成全集1」(冨山房百科文庫昭和13年11月10日発行カバ900円
古書は「上田秋成全集」だけ。この全集も、ホントは続けて出る予定だったようだけれども未刊で結局1巻の「創作小説集」しか出ていない。戦時中の三島が手放さず読んでいたということでこの版をわざわざ買ってみたわけである。石神氏は、いままでノベルズ本だけだったので、今回の作品集でようようデビュー作など読むことが出来る。それから「全体主義」はなかなかいいよという人の話を聞いて買ってみた。まあごっちゃごちゃしている全体主義とその言説史をファシズムとの違いやらなにやらとあわせて要領よくまとめたもの。
それで最後が「したむきな人々」である。マイナーだが、ある種の落伍者を描いて味のある作品を集めたアンソロジーとでもいおうか。カバーの絵とカバーの紙質がとてもマッチしていて本自体気に入ったが、中身がまた・・・。高瀬文淵、安成二郎、熱田五郎、藤浦コウ、那須辰造、井上立士、埴原一亟、椎名頼己、榊山潤、安久昭男、網野菊子、伊藤茂次の小説が入っている。といっても、安成二郎、榊山潤の名前は知ってるが、網野菊子って網野菊とは違うのか(実際そうなのだが)・・・くらいで他の作家は全く聞いたこともない。しかもその三者ですら小説は読んだことがないというていたらく。世の中広い。それでまあ早速読んでみたが、このダラリとした夏の午後、夢中に読んでしまい、やっぱり購入して正解であったと思う。
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