漁書日誌 3.0

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オペラ鹿鳴館

世界初演オペラ「鹿鳴館」池部晋一郎作曲@新国立劇場
上記の公演の本日千秋楽に赴いた。

歌うには台詞が長すぎるので、オペラ用にテキストを直してやったもの。しかしまあ、そもそも「鹿鳴館」自体がオペラに向いていたというべきか。「午後の曳航」なぞよりよっぽどしっくりくるような気がしたのだが。
冒頭の部分も、けっこう長めのプレリュードのようなものがあり、いつもは、つまり新劇や新派などだとここは、♪プッパパープッパッパープププパパー・・・という帝国陸軍の軍歌「扶桑歌」が定番なのだけど(まあ閲兵式やってるからねえ)、全く違っていて新鮮。第一幕の潺湲亭も、洋式のテラスにして、こちらもしっくりときている。初演の舞台装置は伊藤喜朔だが、まあそれにこだわらずこういう風なものがどんどん出てくるべきだろう。
で、いったい最後の幕のワルツシーンはどういう風に処理しているのかワクワクと見ていたのだが、これがなかなかであった。衣裳はすべてモノトーンに統一、燕尾服に黒白のドレス、または、モノトーン版三人官女みたいのが躍っていたり。朝子が猿踊りだといったように、ワルツのシーンではそれらの参会者が皆ひょっとことオカメの面をつけて躍る。「伊藤博文閣下!」と著名人が入場するシーンでは、実際にそれらの人物は登場せず、舞台に金色の菊の御紋を映写し入場ですという台詞だけで処理。そのまわりでは先程のオカメひょっとこが踊り、いつの間にか、燕尾服とドレスに混じって、百姓男やら赤子背負った女やらが躍っているという趣向。
常時、舞台上方プロセニアムの真ん中あたりにオペラの歌詞が字幕で映写されているのだが、これは日本語オペラの場合いまは普通のことなのだろうか。込み入った台詞が多く、複数の人物にダブらせて歌わせる箇所も多かったので、確かに字幕無しでは聞き取れないのが現実といったところだが、こうなってしまうと、聞くというよりも字幕を追っかけるのが普通になってしまう。これってどうなの。
それと大したことではないが、「徳大寺のお姫様が…」という台詞を「おひめさま」と朝子は発音していたが、これは「おひいさま」ではなかろうか。
写真、脇にチラリと見えているのが、今度九月に上演される文楽版「鰯売恋曳網」のチラシ。