漁書日誌 3.0

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梅雨前に扶桑

月曜日、扶桑書房の古書目録が届いた。
とはいえ、ちゃんと目録を見たのは仕事から帰宅してからで、帰宅前に友人から情報を得て二点注文したのだが、なんと、目録には雑誌「叙情」(故園草舎)1号4500円などというものが掲載されていた。無論間に合わず。こういうものが前触れなくポツンと出ているのだからスゴイ。
で、今回注文したものが本日昼間に届いた。

永井荷風「あめりか物語」(博文館)明治43年3月25日5版カバ欠美2000円
久米正雄「破船」(新潮社)カバ欠前編大正15年6月30日29版+後編大正15年7月30日22版5000円
なんだか今回は佐藤春夫龍膽寺雄が大量に出ていたような気がする。そちらでは結局注文品はなかったが、他にも「痴人の独語」凾付600部版が4800円とか、買い得品はあれこれ。
「あめりか物語」は、これで買ったのは四冊目か。売ってしまって手許には一部しかなかったのだが、今まで入手したのは皆裏表紙が取れているとかインク染みが強烈とか背表紙がポロポロ剥離しているとか、そんなものばかりだったので、綺麗な重版は嬉しい。ようやく書棚のものを交換出来る。今回のは明治期の重版だが、大正期(いつからかはわからぬが)の重版になると、見返しの柄が違ってくる(魚の泳いでる図柄だったのが途中から抽象的な模様になる)とか、裏表紙の博文館のマーク?が変わったりする。そんなことはどうでもいいが、いままで入手したこの本、みんな表紙が焦げ茶に黄緑を混ぜたようなヘドロ色というか、そんな感じの色だったのだが、これは綺麗な焦げ茶。表紙イラストの銀箔捺しもちゃんと残っているし、そもそもはこんな感じだったのだろうなあ、と。「破船」は御存知、漱石の娘に結婚申し込んで……というアレ。けっこうな重版だが、実は古書展会場なんかでは見たことがなかった。自分の予算内で欲しい物を買って満足する。よい買い物である。