漁書日誌 3.0

はてなダイアリー廃止(201901)を受けてはてなブログに移設しました。

映画「三島由紀夫」とヴィリエ・ド・リラダン

八王子くんだりまで映画を観に行ってきた。なにもこの金のない時にあんなところまで往復電車賃幾らかかるのだ…というところだが、今日だけの上映で、見逃すと今後見られるかどうかもわからなかったのだ。
で、八王子まで行くならば、途中下車して、先日の森開社展を、ということで覗いてきた。というのも、先日は出ていなかったのだが、まだ出していない在庫を出して売ると聞いていたのだ。

マラルメヴィリエ・ド・リラダン」(森開社)別装333部限定凾カバ2000円
これである。凾題簽に写真のような欠けがあるものの、出版社在庫の一応新品。無番号。恐らく落丁やなんかがあった時の交換用でしょうね。3000円以上なら買えないなと思っていたが、意外な価格だったので購入してしまう。一応背皮装。これとは別にフランス装のものも売っていたが、実はフランス装の方が部数は少なく、会場では2800円で売っていた。「千田光詩集」なども初日は売り切れていたが在庫追加したようだ。
ところで、映画である。
タイトルはズバリ「三島由紀夫」。まあ、それだからわざわざみにきたというのもある。渡辺文樹監督の新作。十年くらい前に豊島公会堂で「腹腹時計」を見て以来か。天上天下唯我独尊の駒田好洋みたいに、全国の上映予定の土地に数日前から挑発的なポスターを貼りまくって告知、というようなスタイルで上映会をしているところだ。
ちょっと前に大和市でやったようだが、その時はいつものように右翼の街宣車とか来てそんな中での上映だった由(というか、ワタクシはこれがいつもの必須アトラクションと思っている。「腹腹時計」の時は、右翼街宣車と機動隊バスで会場は包囲され、上映中に右翼の殴り込みのようなのもあった)。だが今回は、あの特徴的な告知ポスターを八王子の街でまったく見かけなかったし、会場周辺も静か。観客は30名くらいいただろうか。

で、正式には「政治と暴力 第一部 三島由紀夫/第二部 赤報隊」と正続篇の二部構成となっている。見ていて何度か、これはどこかで聞いた台詞、どこかで見た話の展開だなあと思ったら、こないだテレビドラマになった「不毛地帯」じゃないの。こないだのドラマと山本薩夫監督の映画だけで原作読んでないけれども。というか、映画そのまんまの箇所もある。あれは戦闘機だけどもこの映画ではレーダー。壱岐+山本舜勝モデル?の主人公を監督自ら演じていて、ストーリーは「不毛地帯」ベースに松川事件赤報隊事件なんかと政界汚職やら謀略やらをからませた感じの裏戦後史みたいな内容。三島の東部総監室での自決シーンも、どうしてもポール・シュレーダーの「MISHIMA」を想起してしまうが、参考にしているのかしらん。画面のピンぼけ、俳優が台詞とちったり言い直してもそのまんま、よくわからないパートカラー(回想と現在というのでもないらしいし昔のピンク映画のように人物シーンのみカラーというのでもない)等々まあそれはご愛敬としても、第二部の方はナレーションで処理してストーリーを進める印象強く、何だかなあ、と。