漁書日誌 3.0

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愛書会展+鎖陰

国会図書館にて「邦楽と舞踊」「音楽新聞」「東京タイムズ」などを出して閲覧。調べモノ。その後、神保町へ。
本日は愛書会古書展の初日。といっても注文品はない。先日の出費が大きくまだまだ尾を引いている。だがしかし、やっぱり場を見ないわけにはいかない。
ということで、ザーッとみていくも、なかなか手にとってキープというような本も見つからない。で、まあ結局一冊だけ購入したのが以下。

田山花袋小栗風葉編「二十八人集」(新潮社)明治42年9月20日7版(初版は41年4月15日)裸本綴痛870円
それと一緒に写っているのは先日ネットオークションで落札したもの。
岡田八千代「白蘭」(大元社)昭和18年4月18日初版背痛300円
「二十八人集」はあれです、御存知の方には今更いうまでもありませんが、病床の国木田独歩を見舞うために仲間達が出版、という形のものです。まずは西園寺の揮毫が織り込み口絵で入ってから蘇峰の序文があって、四迷、藤村、秋声、白鳥、葵山、秋江、空穂、霜川、眉山、青果、薫、春葉、風葉、花袋らの小説、秋骨、天渓、有明、臨川、泡鳴らの評論など。それに、満谷国四郎と小杉未醒の絵が入る(未醒のは多色木版のようだが印刷か?)。ちょっと一部分綴じが緩いところがあったので帰宅後早速修理したんですけど、まあほかにダメージもないし千円以下ならよいかな、と。これは外装は凾だろうかカバーだろうか。誰か教えて下さい。
で、岡田八千代の方は、先日「絵の具箱」を買ったことだしというので、ちょっと探したらオークションにあったので落札。装幀・扉は藤田嗣治。大正初期のものから皇軍慰問までのエッセイ集。粗末な戦時中の本ではあるが、ちょっとつまんで読むには最適かも。
まあそういうことで、閉場後に閉店間際の田村に立ち寄り、東京堂へ立ち寄る。田村にあったパノフスキー他「土星とメランコリー」が売れていた。こういうのちくま学芸文庫とかになってくれたら嬉しいんだけどもなあ、まず無理だろうなあ。それで東京堂では、結局、このあいだは今度といいながら、
田中栞書肆ユリイカの本」(青土社)書名落款銅版蔵書票付
を定価購入してしまった。ということで、早速読む。
しかし早々に神保町を後にして今度は渋谷へ。今日は映画をみにきたのである。今やっている特集・妄執異形の人々@シネマヴェーラ。今日は「怪談 片目の男」(1965、小林恒夫監督)と「鎖陰」(1963、鎖陰製作委員会)の二本。
まあ、お目当ては後者。というか、この伝説の映画、実はもう何年も前に中野武蔵野ホールでレイトショーで公開した時に行って一度みているのである。といっても、みていてすぐ寝てしまったような。当時は、よもやもう見られないと思っていたあの映画をやるというので駆けつけたのだったが。しかしまあ今回はキッチリと見た。技術的には、ハッキリ言ってやはり映研レベルかもしれない。音声レベルどうにかならないのとか、広い原っぱのようなところでドリー撮影している時カメラの影が写り込んじゃってるとか。音楽はなんというか、前衛っぽかったというか、武智の実験舞踊とかで使ってそうな(あくまでイメージ)感じで、やけに観念臭の強い映画のくせにシナリオこれでよいのか、とか。これがあの、上映直前にフィルム奪還事件が起きたりした映画かあという感慨もある。実はこの映画、当初ロケ場所として三島由紀夫邸を予定していて交渉にもいったらしいと、当時のスタッフの回想で読んだ。確かこれには上映当時のパンフレットがある筈なのだが実物みたこともない。同じく足立さんのでも「銀河系」ならば蝎座で売っていたシナリオ集で持っているのだが、「銀河系」も見たのは俳優座でやったアングラナイトという特集で、もうかれこれ十年近く前かも知れない。しかしこういうのはDVDにはならないだろうし、いやならなくてもよいか。永遠のアングラという気もする。