漁書日誌 3.0

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限定版・扶桑書房古書目録平成21年夏

昨日、帰宅したら届いていた目録である。
あれ、これは・・・と見ていてビックリした。というのも限定版の目録であったからだ。といっても、限定版の豪華本を掲載している古書目録、ではない。この古書目録自体が限定100部記番、所蔵者名記入の目録なのである。これは前代未聞の古書目録ではあるまいか。


所蔵者名、つまり宛先であるワタクシの名前がすでに墨筆にて記入されているのである。というか武井刊本にそういうのがあったようなあという気もするが、しかし、そう、これはただ売るための目録なんぞではない。店主の序文にあるように、〈書誌学的にも役に立〉ち、保存に耐える資料としての古書目録なのである。これはお金出しても欲しいなあ。掲載されている商品も、一番安いのが280000円、高いのが1200000円と、つまりそういうレベルの超一級品ばかりが出ているのだが、一点につき懇切詳細な書誌的解説が一頁二段組みで付されていたりする。そして写真は全てカラー。例えば、巻頭に掲載されている百万円也のこれ。

鴎外の私家版「仮名遣意見」与謝野晶子旧蔵印・鉄幹自筆書入+私家版「門外所見」鴎外自筆書入・晶子旧蔵印
それから五十万円也のこれとか。

尾崎紅葉金色夜叉」直筆原稿四葉+原稿送付時の自筆封筒+梶田半古肉筆原画
スゴイものばかりが並んでいる。太宰署名本三冊一括とか「小説道楽」荷風自筆註釈本とか、「人魚の嘆き」再版挿絵無削除本とか(実はこれが一番安い本!)、情話新集初版極美元パラ全揃とか、「春と修羅」賢治自筆書入本二冊一括とか、そういうものが出ている。いやあ、資料としていいなあ、と。やっぱり写真も多く、オールカラーなのが嬉しい。これは大事に扱って、同じく大事に保存してある一人展の目録同様、永く保存したい。