漁書日誌 3.0

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高円寺古書展


17時10分頃の高円寺、西部古書会館
さて今日の高円寺展では、一点注文を入れていた。一万円の本である。それで、家を出る前に抽選の確認電話を入れてみた。「あのう、注文品の確認をしたいのですが」「ハイ、名前は?」「あ、○○です」「どちらの?」「○○のです」「えーっとねえ・・・」。あれ、何故番号聞かないのだろう、こいつファイル見てないな、と思う・・・というか目録番号確認すればよいのに、なんでこういう間違いの起こる可能性の出てくる手抜きをするのだろう。昨日も電話がアレだったので、やはり気になってしまう。「えーっと」という電話受け手の声の背後で、「おい、棚にねえんだろ、ねえならハズレだよハズレ!」と大声。バッチリ聞こえてくるのである。電話受け手はまだ「えーっと」といっている。適当なこといわれるのはイヤなので「○○○番で、○書店さん掲載のものです」と伝えた。それでも「えーっと」と、ファイルをめくっている気配がない、と、「○書店さあん、ちょっと」「ここにねえんだからねえんだろ」と大声で背後で話しているのがまる聞こえ。だからなんでちゃんと当落ファイル確認しないのだ。あのさあ、あんたらにはたかが一万円のものかもしれないが、こちらには大金、覚悟してそして楽しみにして電話してるのよ。書店主らはいっつも帳場の裏でダベってお茶飲んでるが(それはよいとしても)、まさか今日は酒飲んでるのではあるまいな、と。ダメならダメで(いつものことだし)サッパリ諦めるのに、「あの、まる聞こえなんですけど」といってやろうかとさえ……。
でまあ、その約二時間後、その現場へ突入というわけです。ええ、勿論、会場に入ってまず最初に、会場に取りに来ると注文したものが置いてある帳場奥の棚にバッチリ眼は行きました。そして、その私が注文した品は棚にあり。他の人に当たったのか。安すぎると気づいてひっこめたのか。いやいや、こんなことをあんまりいうと、ハズレたのを根に持った人みたいでイヤですが、以前もここで(別の会ですが)、会場に赴いて確認したらハズレといわれながらも、一週間後くらいに送料こっち持ちで自宅に送られて来たという経験をしているので(しかも同じ出品店で二回)、イヤなイヤな、いやな感じ(by高見順)です。ここで再度確認してやればよかったのでしょうが、ああなんて気が弱いことよ。でまあ以下が会場で買ったもの。

福沢諭吉「修業立志編」(時事新報社明治34年3月8日12版美300円
木村徳三「文芸編集者の戦中戦後」(大空社)カバ帯田中澄江宛献呈署名入700円
前者は、なんか出版されたばかりのように状態がよかったので、明治立身出世資料として購入。後者は、「文芸編集者その跫音」(TBSブリタニカ)の改題新装版に過ぎず、その本は大分前に買って持っているのだが、あとがきをチラと読んだら、前著には記憶違いによる誤記があるとの由。署名も入ってるしということで(この田中澄江って、あの田中澄江だよねえ?)。この本、三島のなかなか面白い戦後すぐの書簡が一部抜粋で収録されているのだが、この改題新装版ではそれが口絵に写真版として出ているというのも前とは違う。
ホントは、入口そばの和本がどっさりあった書店さんの棚に、「新著百種」が数種、「二人比丘尼色懺悔」とか「風流仏」、あと何だっけ、饗庭篁村のやつがあり、ちょっと痛みありで、紅葉も露伴もそれぞれ2000円だったが、逡巡の末にやめてしまった。またそこに「佳人之奇遇」の第四巻、無論、博文堂の元版が千円であり、これも手に取ったが、結局戻してしまう。これこそピンピンの復刻版のような状態の本だった。実は「佳人之奇遇」はこの元版初版を三巻目まで持っており、はなから揃える気はないが、こうキレイだとどうしようかちょっと躊躇したのである。
でまあ、いつもの如く、高円寺駅周辺の古書店を覗き、高架下を阿佐ヶ谷まで歩き、阿佐ヶ谷の古書店を幾つかまわる。阿佐ヶ谷駅前の噴水脇にある喫煙所で、一服。

その後パルセンター商店街のbookoffにて安藤宏太宰治 弱さを演じるということ」(ちくま新書)や佐野真一「阿片王 満州の夜と霧」(新潮文庫)など買ってしまいました。