漁書日誌 3.0

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このアプレ!

ぐろりあ展初日。
注文品はない。国会図書館に17時過ぎまでいて、急いで半蔵門線にて神保町へ。会場には17時45分頃到着。ザーッと見ていく。「和魂洋才の系譜」500円とかあったが、これは平凡社ライブラリ版で欲しいんだよなあとスルー。結局大したものも買わず。

大江健三郎「厳粛な綱渡り」(文藝春秋)重版カバ300円
中島重「スペンサー」(三省堂:社会科学の建設者 人と学説叢書)初版裸1050円
会場で買ったのはこれだけ。大江は、まあこんなのは文庫でよいのだが、しかし、文庫だとあれこれ削除部分などあるのではないかという気がしてわざわざこちらの場所を喰う単行本を購入。一応持っておこう、と。それから「スペンサー」は、ちょうど今こういうの欲しかったのでグッドタイミングだが、ちょっと千円は高かったか。これ、スペンサーの翻訳リスト、小伝、主要著書の梗概を収録。ホントちょうどよい本だ。
その後、村山書店にて、高田里恵子「文学部をめぐる病い」(ちくま文庫)500円を購入。この人のは新書のやつを二冊読んだし、もういいかなあというアレだったのだが。
そして一服してから、神保町シアターへ。ここに来るのは実は初めてだったのだが、今日は(前にも書いたが)「東宝芸映画の世界」で上映される「現代の欲望」(1956)をみにきたのである。けっこう混んでいたが、ギリギリに来て、後列二列目の中央に座することが出来た。「現代の欲望」脚本は菊島隆三池部良の本によると、光クラブ山崎晃嗣をモデルにしたらしいが、まあ主人公池部の設定が、京大卒業後に高利貸しとなり、九分の利子でかなり強引な取り立てをする、銀座ビルの地下に事務所を持つ社長であった。まあこれがある程度光クラブモデリングしているか。金が至上だったのが、途中で変わって来ちゃってというなんか前向きな脚本であった。劇中、田舎の両親が主人公の邸宅に久々に訪れ、やおら金策を頼み込むと、俄然拒否。その応答にキレた父親役の三津田健が、「この金の亡者! このアプレ!」と悪罵していた。おお、「このアプレ!」。「アプレ」が罵倒語になっている例を初めて見た。戦後十年も過ぎてまだアプレなどと口にするのは田舎の親だからということなのだろうか。それと昭和三十年代の銀座、というか、あれは有楽町近辺。「東京銀行」の看板が見えたが、高利貸しの事務所があの第一生命ビルとかあったあの近辺らしい。第一生命ビルといえば、元GHQだったアレ。やけに煉瓦とか石造りの建造物が多い。兜町の株式市場なむろん電光掲示板ではなく黒板に手書きの時代で、これは加藤大介主演の(というより獅子文六原作の小説)「大番」で見知っていた。株といえば野添ひとみが株狂いの女子大生役を演ずる大映映画もあったなあ(題名忘れ)。

さて、「文学鶴亀」や「差異と欲望」など、これらはネット古書店にてうっかり注文してしまった。お勉強用だという言い訳を自分にして。金遣いが荒い。まずい。