今日は暖かい。やはりマフラーすら持参しなかったのは正解であった。13時27分。起床。寝坊。そして結局、本日の神保町行き主目的たる映画には間に合わず。
現在、神保町シアターにて開催中の「東宝文芸映画の世界」にて、これはと前々から思っていた「現代の欲望」(丸山誠治監督、1956)を観るつもりであったのである。寝坊のせいで間に合わず。あと30分早ければとも思うが、仕方がない。この映画、山崎晃嗣の光クラブをある程度モデルにした映画だと、先日読んだ池部良「心残りは……」(文春文庫)で知った。光クラブを追っかけているものとしては、やはり要チェックである。光クラブといえば、先日CS放送で観た成瀬巳喜男の「怒りの街」(1950)も(これは丹羽文雄原作だが)、学帽学ランでアプレ青年演じる宇野重吉の台詞で「光クラブの社長は現代の英雄だよ」なんていうのがあった。いやしかし、ガックリ。なんだかよく眠れずかなり寝不足の所を急いできたのに間に合わない。そのまま神保町に放り出される恰好になったわけだが、しかしまあ、そうなったら、あとは、古書展もない今日はゆっくり古書店でも流すか、と、まずは三茶書房。
伊藤秀雄「黒岩涙香—探偵小説の元祖」(三一書房)1100円
まずはこれを購入してしまう。この本ね、皆さん御存知と思いますけど、昨年だったか、一昨年だったか、どっさりと三一書房のゾッキが出ましたよね。それで出たやつ。どこ行っても2000円とかで並んでいたもんですが、おそらくこれが今まで見た中で最安値。しかも、凾の底にゾッキ印の赤マジックのチョンがない。ともかく、あとでチェックしたけれど全く新品そのものだし、安いし、まあケチりにケチって安く出るのを待っていてよかったというもの。さすがに千円以下じゃないだろうし。
でまあそれから、ザーッと通り沿いの店を流し、田村書店の外台を覗き、中を見て、それから久々に特価書籍にでも行ってみよう、と足を伸ばす。今日はカットソーにジャケット一枚で、歩いていると軽く汗ばむ程。二月なのにという感じもするが、しかしまた花粉もスゴイのだろうなあ、と。岩波ホールのところの信号を渡り、矢口なども覗いていく。途中、山陽堂書店にて、新刊として出たときにちょっと買おうと思ってそのままだった本を見つけ、値段に釣られて買ってしまう。
小西康陽「ぼくは散歩と雑学が好きだった 小西康陽のコラム1993-2008」(朝日新聞出版)2刷1100円
やっぱり植草甚一を意識したタイトル。息抜きに拾い読みするのに丁度よい。
で、日本特価書籍。いろいろと見る。大屋幸世「蒐書日誌」が四冊揃で3400円で出ていた。それと、これも昨年だったかゾッキでまた出たヴァレリー・ラルボー「秘めやかな心の声…」、ペトリュス・ボレル「シャンパベール」まだ綺麗なのが積んであった。でまあ、新刊書で何かないかと思ったら、何と、平凡社ライブラリの新刊を見て驚く。
- 作者: アンリフォシヨン,Henri Focillon,杉本秀太郎
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2009/02/01
- メディア: 単行本
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で、今度はいそいそと東京堂書店へ向かう。というのも、今日の主目的は映画であったけれども、実は第二の目的は、ある新刊書を買うことでもあったのです。その新刊書、定価が些か高く、もう二年近く古書で探しに探して全く見つからなかったもの。ということで、東京堂にてこの本を購入。
- 作者: 日比嘉高
- 出版社/メーカー: 翰林書房
- 発売日: 2008/11/01
- メディア: 単行本
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さて、そんなこんなで神保町をあとにして、地元駅まで帰り着き、地元駅前の新刊書店にて昨日紹介した文庫を買いました。
パノフスキー「〈象徴形式〉としての遠近法」(ちくま学芸文庫)
若林幹夫「増補 地図の想像力」(河出文庫)
いやまあ東京堂で一緒に買えばよかったのですが、この地元の店で買いたかったのです。というのも、まあ、あまりこの辺ではちくま学芸文庫など買う人もいないようで、いつも新刊が一部ずつ入荷されるんですが、売れた形跡がない。ちくま文庫のスペースも何となく年々縮小されているようで、これで全然売れないと、ちくま学芸文庫自体の取り扱いがなくなってしまうのではないか、という危惧からなのです。事実、前には三十冊くらいは並んでいた平凡社ライブラリが、昨今の新書ブームの影響か、スペースを追われ、今では一応、一、二冊在庫が並ぶだけ、という悲惨な状況になってしまったのをこの目で見ているからなのでした。頼むよ、ちくま学芸やら平凡社ライブラリやらすら置いてない新刊書店など書店であって書店でないと思っているワタクシなのだから。