漁書日誌 3.0

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五反田遊古会とか

五反田に向かう。
注文品はないのに、往復千円近い電車賃をかけるというのは、やはりビョーキの類であろう。古書それ自体というよりも古書を漁るというそれ自体が、ある種精神衛生上必要な営為となってしまっているのかもしれない。
まあそんなことはどうでもよいが、17時34分頃五反田駅到着。そこから会場へ向かい、40分過ぎくらいに到着。まずは外。文庫がズラーっと。前もそうだったように思うが、もしかして値下げされていないかな、とか。岩波現代文庫とか、やはり定価の半額近い値段といっても700円近いし、そりゃあ100円でも安く欲しい。でまあ、ザーッと見る。岩波新書の列で、初めて見るタイトル、「ひとり暮しの戦後史——戦中世代の婦人たち」というのを手に取る。ちょっと面白そうなタイトル。それと、「回想 初等科とともに」。初等科って、おいおい学習院か、と、思いきや、学習院教養新書というシリーズ名。ムムム、とこれも手に取る。創立125周年記念で出された非売品のようだ。それから、谷崎をモデルにした小説(谷崎は、谷口潤一郎で登場)、中河与一の「探美の夜」と続編。まあ、荷物になるが安いしよいか、と。これって、続編一冊の合計二冊でよいのだよなあ、続々篇もあったような気もするが……あとから調べたら、やっぱりあった。「探美の夜 完」という三冊で完本だ。その上、何とコレ上下の二分冊で角川文庫になっている……うわこんなの場所とらない文庫で欲しい。今日買ったのはじゃあ意味無しお荷物か。

塩沢美代子・島田とみ子「ひとり暮しの戦後史」(岩波新書
福田正一郎「回想 初等科とともに」(学習院教養新書、学習院総務部広報課)
中河与一「探美の夜」(講談社)昭和33年12月20日2刷カバー
    「続・探美の夜」昭和33年12月20日1刷カバー
それぞれ各200円

ふと気づくと、もう17時50分。マズイ、急いで二階へとそそくさと会場へ。もう、急ぐ急ぐで結局よく見られず。それでもまあ拾ったもの。
アウエルバッハ「ミメーシス」(筑摩叢書)上下重版500円
谷崎潤一郎「肉塊」(春陽堂大正13年1月15日第四版凾欠500円
国民講座・日本人の再建1「討論 現代日本人の思想」(原書房)カバ1000円

まあねえ。最後の「現代日本人の思想」は、確か帯もあったと思うが、実はいままで未入手で、安く欲しかった。千円ならみっけものだろう。あんまり見かけないし。これの討論には、三島由紀夫福田恆存村松剛に……と、あれこれの論客が参加。国会図書館でコピーしてきて読んではいたけれども、ようやく元本入手。それから、「ミメーシス」だなんてものを今更買っているのは、まあホントに今更だが、500円だったため。本当はこれ、ちくま学芸文庫版で欲しかった。コンパクトだから。こういう基礎の基礎みたいな本は学生時代に読んでおかなくてはならないのだが、そしてこの本はよくそこらに転がっているのではあるが、上下二冊で500円以下じゃないと買わない、と、学生の頃から500円以下基準で探してきたのである。でもまあ、よく見るのは1200円とか安くても800円とか。実は500円でなかなかなかった。そして十年以上経過してからようやく購入とは、まあなんたるケチなのだろう。買うタイミングどころか読みのタイミングまで逃してしまった。この忙しい中に何ら仕事と関係ない二段組みの上下本を読む時間があるだろうか。いや、いいのだ、書架にあるだけでも。それはそうと、「肉塊」は、青クロース装のやつ。初版って緑色クロースだったような気もするが、単に褪色した背をかつて見てそれのイメージなのかもしれない。確か、7版くらいで背布装になって本文も厚めのコットン紙になる。あーやっぱり階下の外台に出ていた「演芸画報」の束をゆっくり見たかったなあ、と、思うも、既に閉場5分過ぎ。さっさと会計を済ませて外へ。
それから茶店で一服し、実は「ミメーシス」にごくちょびっとあった鉛筆の書き込みを消したり(上巻の半分まで。おそらく前所有者はそこで放り出したのだろう)、古書を鞄にキレイに入れ直してから、神保町へ。といっても19時半頃でとうに各古書店も店じまい後。モールへ。そして買うものはなにもなく。帰途。
地元駅前の新刊書店に立ち寄り、昨日も書いた、中公新書「洋行の時代」と廣済堂文庫「おこりんぼ さびしんぼ」を購入。角川の「偽りの民主主義」はおいてなかった。

そして帰宅してからは、CSの日本映画専門チャンネルで放映してて予約録画最中の映画「雪の断章」(1985)を録画しながら見る。
いま相米慎二特集をやっており、これがテレビ初放映とのこと。相米でもとりわけ80年代の相米の映画が好きで、ワタクシは表の傑作は「台風クラブ」、裏の傑作は「ラブホテル」と思っている人間なのだが、実は「雪の断章」は原作は文庫で読んだけれども映画は未見であったので、今回の放映を前から楽しみにしていた。しかし期待が高すぎたのかもしれない。まあ、これはDVDになっていないものなので、とにかく録画出来てよかった。