漁書日誌 3.0

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日曜の古書

一昨日の前の日だったか、ネットオークションで四件くらい立て続けにものを落札した。たまたま重なっただけである。皆千円以下のものばかり。

まずはこれ。雑誌。
奇譚クラブ」と共に安ければ買うようにしてなんとなく集めている「風俗科学」。これは昭和29年6月号だ。600円。「奇譚クラブ」は1950年代初頭までという区切りを一応自分でつけて集めている。だが「風俗科学」の場合、昭和30年までもったのか…。その前に廃刊になったような気がする。この雑誌の読者組織FKKというのがあるのだが、それについて興味があり調べモノをしているので。似たような雑誌に「風俗草紙」もあるが、やっぱり細かく見ていくと似てはいてもそれぞれ色がある。草紙の方だと日夏由紀夫とか香山滋とかも書いているのだが。
それともう一つは「論争ジャーナル」。知っている人の間では論ジャーと呼ばれているあの雑誌である。これは1000円もした。育成社の発行だが、この出版社、初期楯の会の母胎グループとでもいえばよろしいか。まあそういう関係である。


ネットオークションでは、いわゆる初版本だの何だのというのがわんさか出品されているが、ケチなワタクシの場合、新刊本を安く狙ったり、お勉強用の作家論だの研究書だのを安く買うために漁るということもある。これは三島の研究書で、「三島由紀夫の語彙研究序説」「続三島由紀夫の語彙研究序説」というもの。各1000円で落札。この本、実は専門店なんかを見て回ってもあまり見かけない。前者は非売品と奥付にあり、後者は定価6200円と奥付にある。日本の古本屋などで検索しても結構なお値段しているようで、今回はラッキーであった。やはり研究などしている人はどうしても自然とこういう書物を集めてしまうもので、コレクター的に云々というのではない。論文などを書いていて、やはりいざというときに手許にあるのとないのでは違うのだ。先行研究知らないと話にならないというのもある。ワタクシはこういうお勉強用の本は徹底的に線を引いたり書き込みしながら読む人なので、特に自分で買って手元に置きたいのである。取り敢えず基本的な伝記系から代表的な作家論、作品論、作品論アンソロジー、細かな回想系やらトンデモ本まで、一応目配りはしているつもりなのだが、それでも三島関係は数が多くて追いつかない。しかも売れない学術書は定価が高い。勤務先の予算がある人はよいが、そんなものはないフリーターのワタクシは全部自腹、だから古書を探すのだ。
さて、そんなことはどうでもよい。


これは今日外出して購入した、古書と新刊本である。角川文庫「三島由紀夫楯の会事件」330円。これは単行本の構成を変えて大幅加筆。文庫版になって加筆だの削除だのというのは結構ある。それと講談社選書メチエベンヤミンの〈問い〉」600円は、まあちょっと興味があったというだけだが。

で、お次は新刊書二点。高田里恵子「学歴・階級・軍隊」(中公新書)、伊藤桂一「兵隊たちの陸軍史」(新潮文庫)。

兵隊たちの陸軍史 (新潮文庫)

兵隊たちの陸軍史 (新潮文庫)

高田の本は、ちょうどいま「グロテスクな教養」(ちくま新書)を読んでいたのだが、人から、この新刊には山崎晃嗣に一章割いてあると聞き迷わず購入。これは読むのが楽しみだ。後者は、たまたま新書をレジに持っていこうとして新刊書として山積みになっているのを見つけ手にとったもの。兵隊の日常といっても、特に旧軍の陸軍なんかは、どうも「兵隊やくざ」とか「独立愚連隊」とか妙な映画のイメージから妙なことになっているので、ちゃんとした、というか、一般的な日常を知るにはこれは手頃でよさそうだ。

いやしかし話は変わるが、和洋会とか我楽多市とかの目録を見ていると、先日ここで言及したゾッキのボレルやラルボーやら、買値の五倍六倍とか平気で付けて目録に出している店があるね。今その値段では全く売れないと思うけどなあ。