漁書日誌 3.0

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地下演劇とかアヴァンギャルドとか

新宿展に赴く。
本当は、今日はラピュタ阿佐ヶ谷にてやってる喜八特集で、TVドラマ「幽霊列車」を見るつもりであったのが、なんだかんだで家を出るのが遅れ、遅刻だということで急遽予定変更、映画を明日にして、明日行く予定だった古書展を今日にしたというわけ。

注文した矢頭保の「裸祭り」1800円は外れた。最近俄然評価されてきたゲイのフォトグラファー(故人)だが、三島由紀夫と親交があったため、写真集に三島が序文を書いたり出演したりしていて、三島関連として以前購入していた。ここ数年、写真集の古書価が鰻登り。ついこのあいだまで署名入り同書が15000円だったかで珍しいから買っておこうかなあでも写真集自体は持ってるしなあなどと思っていたら、いつの間にか署名無しで50000円近くででていた某G堂。未公開写真の新写真集企画もあるが、今後どうなるか。

しかしまあそれはいいとして、今回注文して当たったのは、写真の雑誌「地下演劇」創刊号(1969.5.1発行)。寺山修司がやっていた演劇実験室◎天井桟敷天井桟敷館でやっていた雑誌である。

実はこの雑誌、ようやく先頃全部揃ったのだが(ポツポツ集めていたら10年くらいかかった)、どうも創刊号には帯が付いているようで、早稲田のどこだったかの古書店のGケースに鎮座しているのを見たことがあった。まあ資料なので帯くらいはどうでもよいかなという気もしないでもないのだが、より綺麗なものと交換していきたいなあと安価なのを理由に(1500円)注文してみたというもの。結果、結構状態が悪くシュンとなる。

(ウチの書棚の「地下演劇」)
この雑誌も、初期の頃はよいのだが、7号、昭和50年前後の号から薄っぺらな小冊子になっていってしまう。あと、4号は芥正彦の劇団駒場編集号で、これもちょっとなあという感じ(宮谷一彦のマンガとか入ってるんだけど、「形態都市宣言」とか別立ててちゃんとやればよかったのにという感じ……因みに4号は「形態都市報」という新聞がついて完本)。

しかしまあ、子連れ狼の大次郎みたいな髪型をしていた頃のアラーキーやら、J・A・シーザーのイラスト入りエッセーとか、血の気の多いアングラ劇団同士の座談会(流山児祥が「劇団日本」て言葉を聞いただけで「ぶっ殺すぞてめえ」とか言ってる・・・劇団日本って三原四郎がやってた劇団で、「ビデ夫人の恋人」とかああいうのやっていたある種のキワモノ劇団、池袋アートシアターが根拠地だった)とか、寺山の「邪宗門」(伝説の渋谷公会堂1972.1.30)の演出ノートとか、初期というか中期天井桟敷のあれこれの実験劇の詳細な資料としてもかなり楽しめる要素がある。
でもまあ、創刊号とか2号とかは古書相場も4〜5千円するようだが、それ以外は、古書展などこまめに気長に探してれば、千円前後で拾えたりすることもある。あんまし見ないけど。

寺山修司の本とか、大学生の頃はよく古書を探して買っていたけれど、さすがにもう卒業後十年以上経って今はいいやという気もする。レイアウトや装幀デザインが面白い「ガリガリ博士の犯罪画帖」とか「盲人書簡」「さあさあお立ち会い」とかああいうのは今でも持っていたいと思うけど、初期の歌集とかは高いし、ねえ。
それでもまあ、何とか安く雑誌「律」は欲しいなあというところか。復刻のある「ジュルナール律」ではなくて。

また、寺山参加のイベントのパンフとかが今欲しくて狙っているところでもある。これは寺山自身というよりは、昭和三十年代のアヴァンギャルドへの興味という感じなのだけれども。例えば「フェスティバル律」(1964)のパンフレットとか、箱根細工のように織り込んである?パンフでなかなか面白い。また、「ジャズ映画実験室」なんてイベントのパンフ。これも欲しい、というかコピーでいいから見たいところ。慶応の土方アーカイヴとかにもないみたいだし、演博にもないし、どこか所蔵しているところはないものか。

そもそもこのイベント自体の情報が少なく、実体はどうだったのかもよくわからない。筑摩書房土方巽とともに」に少し出てくるけれど、あれ、ヨシダヨシエの「解体劇の幕降りて」にも出てきたかも?・・・しかし、例えば、慎太郎の「夜が来る」なんて映画、これ以外では全く聞いたことないし、一度当時の週刊誌とか調べてみたのだけれど、全然つかめなかったというもの。

因みにこれはそれのチラシ。絵柄は細江英公「男とおんな」の写真。細江は自主映画「臍とA-BOMB」で参加している。