漁書日誌 3.0

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独歩小品

昨日から読み始めた「新聞小説の時代」を読んでいて、国木田独歩の短篇「非凡なる凡人」を読みたくなった。
確か、以前古書展で拾った独歩の縮刷が「非凡人」とかいうタイトルだったな、と、思い出し、今日、国会図書館に出かけるときに持参し、電車の中で短篇「非凡人」を読んだ。
しかし、「非凡なる凡人」と「非凡人」ではタイトルがまるきり違う。

で、そんなことがあったからかどうか、閉場ギリギリに駆けつけた本日の古書展・まど展では、独歩の縮刷「涛声」を500円で買った。注文品はなかったが、相も変わらず、かわほり堂の棚は明治大正期の文学書が多くてここだけでもよい感じであった。芥川の「春服」重版裸本2800円はかおうかどうか躊躇したけれども結局やめてしまう。今3千円あったら、お勉強用の本を買わないといけないし。

そして帰宅後、書架をよく見たら、先週の和洋会で拾った縮刷傑作文庫版の独歩「運命」があり、その中に「非凡なる凡人」が収録されていてダアとなった、という次第。
しかし「非凡人」も「非凡なる凡人」も、元クラスメートが集まってダベっている時に、主人公たる語り手が飲みながら忘れられない友人を語る……というスタイルは全く同じであった。

独歩叢書第六編「非凡人」(大鐙閣刊)大正5年2月20日初版の、これは大正10年7月20日発行14版。おそらく凾が外装ではなかろうか。今回これの第5編である「涛声」大正10年5月5日発行29版を購入。この独歩叢書が紺色クロース装ので、いまひとつの方が、縮刷傑作文庫第1編、独歩「運命」(新潮社)大正4年5月25日初版発行の、大正5年9月1日の3版。巻末の広告を見ると、この「縮刷傑作文庫」は、第2〜4編が花袋の「緑」「妻」「生」と続いている。装幀者は誰だろう。

実は恥ずかしながら今まで独歩には退屈小説という偏見(!)があり、まー今回のが面白い・つまらないというわけではないが、普通に読みやすいものであったので少し意外でもあった。

さて、日曜日からは、あれこれ注文した新宿展だ。おそらく全てはずれるだろうけど。