漁書日誌 3.0

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金色夜叉とか

尾崎紅葉金色夜叉」を読む。春陽堂刊、明治31年7月6日発行が初版で、今回読んだのは架蔵している重版、明治36年7月15日発行の9版。
もちろんカバーは欠。カバー欠で、重版の揃い(全5冊)を古書展目録で注文して、確か2500円で購入したものである。
まー、よく売れたものだし、口絵はコロタイプとか印刷ばかりで木版もないし、装幀もクロス装だしで、重版ならばそれほどの値段でなくとも購入可能であると思う。それに、確か縮刷版もあったように思う。

口絵は、あの有名な貫一お宮のアレ。

第1巻にあたる「前編」のみ、本文活字も大きく、2色刷り。冒頭の、タイトルと著者名、章および柱(横だけど)が朱色で刷ってある。2巻(中編)からはフォントもずっと小さくなり、単色刷りになるのだが。

改めてちゃんとよく読んでみると、何もお宮はそれほどえげつない感じでもなく、貫一の方が切れたら手が付けられないといった感じで、お宮など、あの有名な砂浜のシーンで貫一に蹴られて血まで流して、一言だけ聞いてくれろというのも聞かずに貫一は去ってしまっている。


昨日から「魔風恋風」やら「金色夜叉」だのってところを書架から引っ張り出して読みふけったのは、この間購入した研究書「新聞小説の時代」(新曜社)を精読したいがためで。
まあ実際、この研究書ではないけれど、「金色夜叉の歌」だの「魔風恋風云々」といった便乗本といおうか、活動に芝居にとマルチメディア展開された有名作でもあり、その辺の広がりと受容がなかなか興味深く、今回この一本を購った次第。