漁書日誌 3.0

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雨の夕、五反田に死す

和洋会古書展、五反田遊古会とともに2日目。初日は行けなかったので、今にも雨が降ってきそうな空模様の中向かう。いつもなら、優先するのは五反田であるのだが、今日は家を出てから目録をカバンに入れるのを忘れたことに気がついた。実は和洋会の方で1点注文品があったのである。どこの書店に何を注文したのだか…いや注文した本は覚えている。ただどこの書店で目録番号何番かがわからない。電話で私の名前で問い合わせても書店も番号もわからないのでは変に疑われても嫌だし、ということで、今日は神保町へ先に行くことにした。で、会場に入る前に隣の郵便局で学会の会費を振り込んでいたら、なぜかATMのところに和洋会の目録が置き忘れて?あり、書名から書店名、番号を確認、帳場で聞いてみると、ハズレであった。それではということで、一応早足に会場をざっと回って、2冊ほど。

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荒正人他編「大衆文学への招待」(南北社)昭和34年11月15日カバ帯500円

小川菊松「出版興亡五十年」(誠文堂新光社)昭和28年8月5日函300円

大衆文学のは、ちょっとエンタメ文学とはなんぞや的なことをおさえなくてはならなくなりお勉強用。と言っても古いが。「出版興亡」は前々からマストの本なのだが、ケチケチしていたら最安値で見つけたので。ただこの本はその後に出る復刊版のが紙質が良くていいのだが、まあ。

古書会館を出ると雨。そのために傘を持参していたのである。神保町駅から三田線に乗り三田乗り換えで五反田へ。終了30分前くらいに会場到着。まずは1階をざっと見て幾冊か買い、その後2階の会場も急いで回る。

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吉田和明太宰治というフィクション」(パロル舎)カバ帯200円

「初版本復刻竹久夢二全集解題」(ほるぷ)200円

吉田健一「英国の文学」(新潮文庫)200円

松本健一「日本のナショナリズム」(ちくま新書)カバ帯200円

「文芸」昭和42年3月号200円

ミシェル・アンリ「見えないものを見る」(法政大学出版局)カバ800円

「シネマデッセイ」4号200円

これというのはほとんど何もないけれども、ミシェル・アンリのカンディンスキー論はお安く買えてよかった。それからシネマデッセイというのはアートシアターの会報のこと。岡本太郎表紙の小冊子。日付がどこにも書いていないが、新宿文化でやった「動物園物語」の特集なので昭和38年のものか。

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CEDAR公演「わが友ヒットラー」@すみだパークシアター倉

上記の公演に行ってきた。劇場。錦糸町から徒歩15分くらい。前にコロナのために上演延期になっていたものの上演である。本作の裏主人公的なキャラだからか、レームを演ずる俳優がとりわけ熱演していた。25日マチネ所見。

*追記

初めて行った劇場と思いきや、コメントでご指摘いただいたが、テネシー・ウィリアムズの「男の死ぬ日」をやった劇場であった。すっかり忘れていた…。

神田古本まつりから趣味展そして雨

ようやく春めいてきたかと思ったら急に寒くなったり、不安定な天候。木曜日、神田古本まつりというので、午後、ゆっくりと見にいく。

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上田秋成全集一」(富山房百科文庫)昭和13年11月10日初カバ200円

マダム・マサコ「実用とシック」(カッパブックス)昭和31年12月20日初カバ200円

「おとし穴」パンフ200円

「舢板」(2003年12月)100円

三輪太郎「憂国者たち」(文藝春秋)初カバ帯300円

太宰治「晩年」(ほるぷ)帯500円

ざっと流して買ったのが以上のもの。秋成は持っていたかもしれない。「おとし穴」パンフは「アートシアター」。安部公房原作。

そして翌日は、趣味展の初日。古本まつり初日はいいお天気であったが、一転、趣味展初日は冷えて今にも雨が降りそうな雲行き。傘を持参。開場10分前くらいに到着。会場と共に雪崩れ込む。と言っても、かなり後ろの方だったので、扶桑棚に到着した時はすでに棚に空きがあって「あそこらへんのガサっと持っていかれたな」というのがわかったくらい。それでもじっくり見て、お昼。仲間と昼食に抜けて、喫茶店で一服してから会場に戻り、リバースチェックとカゴの中身を再吟味。今日はなぜか生田長江の単行本があれこれと目立っていた。

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尾崎紅葉三人妻」(春陽堂明治36年12月9日校訂4版裸400円

生田弘治「読書の趣味」(内外出版協会)明治40年10月10日合本400円

岩野泡鳴「耽溺」(易風社)明治40年5月1日初版背痛1000円

三人妻」は校訂版。「読書の趣味」はジェームス・ボードウィンという人の翻訳と生田弘治の読書論とがセットになって合本になっているもの。「耽溺」は前回の趣味展にもあったが前は1500円だった(と思う)ので見送ったもの。背の無理な補修で開きが悪いのだがまあ。

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生田星郊編「明治時代文範」(博文館)明治40年12月8日裏表紙外れ300円

溝口白羊「不如帰の歌」(岡村書店)明治39年8月20日16版300円

田山花袋「合歓の花」(春陽堂大正8年8月20日8版400円

菊池寛「わが文芸陣」(新潮社)大正12年12月3日初版400円

「不如帰の歌」は何冊か所持しているが巻頭には清方の木版口絵入り。「明治時代文範」はなかなか使えそうな資料、通俗作文全書の一冊。

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徳永直「光をかかぐる人々」(河出書房)昭和19年3月5日2版カバ300円

「刑事警察参考資料」10輯(国家地方警察静岡県本部刑事部捜査課)昭和23年10月5日200円

筒井清忠編「昭和史講義戦後編」(上)(下)カバ帯各300円

結構吟味したつもりだが、またこんなに買ってしまった。お昼には雨が降り出し、その後はずっと雨。寝不足でクタクタのていで帰途。雨のせいで、古本まつりのワゴンは全部無しのようである。

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吉田健一「乞食王子」(新潮社)昭和31年12月25日再版カバ330円

岩井弘融「犯罪文化」(講談社ミリオンブックス)昭和33年7月25日220円

高橋睦郎「詩から無限に遠く」(思潮社)昭和52年1月10日初版函帯220円

荻窪に出て古書ワルツを覗いてから神保町の古本まつりに行く予定だったのだが、なんと中央線が御茶ノ水駅に到着してみると雨が降っている。古書ワゴンは皆すでに店じまいということでダアとなった。吉田健一初期のものは安く欲しかったので嬉しい。高橋睦郎のは、かつて同じ本の献呈署名本を田村書店の外ワゴンで安く買ったのだが、それは函がかなり傷んでいてお安く取り替え用が欲しかったのであった。ささま書店から古書ワルツになって初めて来たかも。

ここのところの古書

まずは先週の紙魚展。今回は目録が来なかったので、これは目録を切られたか…? と思ったのだが、当日会場の入り口に封筒入れがなかったようだったので、もしかしたら今回は目録なかったのかもしれない。

会場に到着したのは閉場10分前。もうザッと見るだけであったが、それでも3冊ほど。

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荒正人「小説家」(カッパブックス昭和32年6月5日初版カバ300円

伊藤整「改訂 文学入門」(カッパブックス)昭和43年6月10日改訂22版カバ200円

権田萬治「松本清張 時代の闇を見つめた作家」(文藝春秋)カバ帯500円

古い新書は面白いものがままあるので、ということで。「小説家」は面白い本で既に持っているのだが、ちょっと汚れがあるので書い直し。伊藤整は「小説の認識」とか「近代文学入門」とか結構新書というフォーマットで出しているような印象があるけれども、これはやはり「女性に関する十二章」がベストセラーになったという経験からなのだろうか。権田萬治のはちょいと清張についてお勉強しないといけないので資料として。

続いてはその前の週の愛書会古書展。この時は閉場40分前くらいに会場到着。ザッと会場全体を見ていく中で、どっさりと映画、演劇関連のプログラムや筋書が出ている棚があり、集中的にそこをチェック。結局その箇所だけを30分くらいは漁って結局プログラムのみの買い物となった。

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「五月興行大歌舞伎」筋書(大阪歌舞伎座)200円

「モルガンお雪」プログラム(梅田コマ劇場)300円

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池田高校演劇部プログラム第11回発表会150円

NLT「リュイ・ブラス」プログラム200円

プログラムばかり4冊。大阪歌舞伎座のは谷崎源氏を上演した時のもので、昭和29年5月の興行。ちょうど谷崎源氏がかなり売れて舞台化されたという流れの時のもの。モルガンお雪は梅田コマでの再演か。何年のものかどこにも記載がないのだが、ネット検索してみると第4回コマ・ミュージカルとして上演されたのは昭和32年のようだ。それからちょっと面白いのが、池田高校演劇部のもの。高校演劇部にしては立派なプログラムだし、国際演劇月参加なんてことも記載してある、当時としてはかなり意識の高い(!)もの。三島由紀夫の「卒塔婆小町」を上演しているため。それからNLTのは既に所持しているがあまりに安いので。裏表紙に図書番号?のようなものが書かれており、これは図書館蔵書だったのかもしれない。

で、あいも変わらずゲルピンなものだから、古書展ではなるべく安く安くあげようと500円でも高いなあというところなのだが、それというのも、やはり個別にネットで古書を買っているというのもあったりする。それはヤフオクだったりメルカリだったりマケプレであったりするのだが。

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アンナ・ツィマ「シブヤで目覚めて」(河出書房新社)カバ帯

ジョン・ノールズ「青春の谷間」(早川書房)カバ

前田愛他「現代読者考」(日本エディタースクール出版部)カバ帯

中江桂子編「昭和文化のダイナミクス」(ミネルヴァ書房)カバ帯

一番高いので千円、あとは300円とかそういう価格のもの。ちょっと気になるなというものでも2〜300円くらいで出ているとひょいと買ってしまう(マケプレの場合はそこに250円だの350円だのとプラスされるのだが)。これもチリも積もれば…で気をつけなければならない。

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兵藤裕己「物語の近代」(岩波書店)カバ帯2000円

黒瀬珂瀾「黒耀宮」(泥書房)署名定価

「物語の近代」はお勉強用で日本の古本屋から。「黒耀宮」は文庫化されたと聞き、書店によっては署名入りを売っていたりしたのだが、署名本はあっという間に売り切れ、メルカリなんかに転売されている。いつかは買えるだろうと思っていたら、ちょうどネット販売で署名入り販売の情報を得たので注文したもの。新品購入である。

こう考えると結構買っている。原稿仕事でばたついていたり、4月からの仕事が減ってかなりの収入減になったりでなかなかきつい。

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unrato公演「薔薇と海賊」(大河内直子演出)2022年3月4〜13日@東京芸術劇場ウェスト

3月8日ソワレを観劇。今まで「薔薇と海賊」は他劇団上演のものを何本か見てきているが、おそらくそれらの中でも一番出来が良かったし、楽しめた。俳優については無知だが、適材適所でキャスティングも良かったし、演出もとりわけラストの幻想のシーンが顕現するところなどは、一瞬モノクロになったりするシーンもあったりして興味深く観たことであった。

 

寒い日々の古書など

だいぶ時間が空いてしまった。この間に、池袋三省堂古本まつり、城南古書展があり、また日本の古本屋でも買い物をし、扶桑書房の豪華な目録も届いた。一応記録としてここに書いておきたいと思う。

まずは三省堂池袋本店古本まつり。初日は行けず、2日目にいく。

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古橋亀吉「記憶法」(私刊)明治39年3月25日印500円

辻潤著作集別巻「年譜」(R出版社)昭和51年7月10日2版カバ500円

河盛好蔵「回想の本棚」(中公文庫)カバ220円

小林和幸編「明治史講義テーマ篇」(ちくま新書)カバ帯330円

「シナリオ」(1971年10月号)300円

「記憶法」というのは謎の本(というより冊子)で、著者序文の日付は明治29年となっている。かつてどこか出版社から出した本を自分で刷って売っていたのか。何かの焼き直しなのか不明。「シナリオ」は三島原作の「潮騒」シナリオ掲載号。注文品もなく、ケチケチとこれだけ買ったのみ。

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浅井香織「音楽の〈現代〉が始まったとき」(中公新書)カバ帯150円

城南展では、この新書1冊のみ。なかなか評判がいいと聞いていたので、ホイと見つかったのはよかった。

で、これはたまたま前から安く欲しいなと思ってい、日本の古本屋を検索したら出てきたので注文したもの。

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塚本邦雄麒麟騎手」(著者本)限定100部夫婦函外函3300円

これは寺山論や寺山宛塚本書簡が収録されている本で、元版は新書館から出ている。これに総革装の特装があると知って、こんなレリーフ嵌め込みのデコデコした夫婦函なんかいらないから、裸本で安くないかしらと思っていたものであった。大体今の相場は1万円前後かと思っていたのだが、ひょいと検索してみたら手の届く価格で出ていたので注文したもの。今これを書くためによく見たら、新書館という版元名はどこにもない。著者本として元版を改装したわけだ。総革装で革と同じ色で天が染めてある。冒頭には元版にはない著者本である明記と記番、寺山修司へささげる一首が印刷と自筆で入っている。この書簡が昭和30年代の状況を伝えていて面白いのである。

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さて、扶桑書房目録も届いた。いつもの速報ではなく、知人でもある某コレクターが手放したコレクションのオールカラーの目録である。さすが極美本にこだわったコレクターだけに、掲載品もすごい一級品ばかり。

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漱石荷風、谷崎、芥川、犀星、その他と別れて掲載されたそれはどれもこれも外装付きの極美本でワタクシなどには全く手が出ないものばかりだが、資料としてこれは永久保存の目録である。そもそも同一書店の同一目録で荷風の「野心」が同時に2冊出るとか前代未聞なのではないか。発禁本「ふらんす物語」、「墨東綺譚」「腕くらべ」私家版ほか、「高野聖」カバー付、情話新集初版全揃等々。

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倉田翠×飴屋法水三重県足立区甲府住吉メゾン・ド・メルシー徒歩0分、入浴中」(北千住BUoY)

芝居は、上記のを見に行ってきた。この北千住のスペースに来るのも、数年前に飴屋の舞台を見にきて以来か。今回も演劇というよりパフォーマンスというか独特なものであった。2月24日観劇。

以下は、ここのところ買った新刊書。

 

 

 

 

 

2月の窓展

さて、来週のぐろりや会古書展は中止となったという。では窓展はというと中止のアナウンスもなし、これはやるなということで、当日開場前に古書会館へ向かう。開場、あきつ書店の棚に向かう。一通り見てから、会場を回っていく。今回は、かわほり堂、魚山堂がお休みのようで棚はなかった。ひと回りしてからお昼。昼食後、田村書店を見にいくと、2月1〜10日はお休みだという張り紙が。

で、戻ってから改めて見て周りリバース本などを抱え、吟味してからお会計。

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松岡譲「漱石先生」(岩波書店昭和9年11月20日初版カバ700円

徳永直「光をかかぐる人々」(河出書房)昭和19年3月5日2刷カバ400円

漱石先生」は表紙に作家の写真を使っているので購入。「光をかかぐる人々」は前にも買ったが、今回のが断然状態が良いので。

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斎藤弔花「弔花小品(隆文館:小品叢書)明治42年7月25日カバ欠500円

「潤一郎傑作全集」第3巻(春陽堂大正13年10月15日8版函欠200円

矢野峰人「去年の雪」(大雅新書)昭和30年4月5日初版カバ帯献呈署名200円

野尻草雄「一高ロマンス」(大仏出版)昭和54年12月20日復刻初版200円

紅野謙介「書物の近代」(ちくま学芸文庫)カバ200円

「潤一郎傑作全集」はクロス装の後版。矢野峰人のは前回も買ったが今回も残っていたので購入。これは朝日の嘉治隆一宛。「一高ロマンス」という本は全く未知の本だが、内容が面白そうなので購入。遺族が復刻版を出したもののようである。元版は東亜堂書店、大正6年7月刊行で「学生生活叢書」の第1編。調べてみるとこの叢書、10冊以上出ているようである。どれも興味深い。「書物の近代」は所持本にコーヒーをこぼしてしまったので。

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久保天随編「文士奇譚」(「秀才文壇」臨時増刊)明治38年4月20日再版400円

早稲田文学」開花期明治文学(昭和2年4月)200円

尾形国治編「「女性」総目次」(雑誌研究会)昭和57年12月3日300円

「文士奇譚」は日本の作家伝みたいなものだが、作家の権威形成にどう関わり合ってくるかなという興味で購入。「早稲田文学」は昭和初期に出た一連の明治文学特集のうちの一冊。復刻版も出ていてバラでポツポツ買って読んでいる。総目次は復刻版が出る前のもので早稲田の雑誌研究会で作ったもののようだ。

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岸田理生編「寺山修司全映画」(人力飛行機舎)昭和51年6月14日たとう汚痛300円

これは初めてみる資料だった。「寺山修司実験映画カタログ」というタイトルの黒表紙の横長(または縦長)のものがあるが、あれの元版のようである。元版はA4版のたとうに無綴の紙片が12枚収められている。今では改題?されて使われていないタイトルのものもあり面白い。いちいち凝ったつくりだが惜しいことにたとうが汚れ傷んでいる。

大した収穫はなかったが、これでも使いすぎかと思った次第であった。論文用の資料でどうしても入り用で、某作家の手沢書き入れ本を購入してしまったからだ。

台本雑誌第6波

和洋会と五反田遊古会の初日。行きがけに郵便局へ職場のPCR検査のキットを出しに行ってから、時間的に神保町は諦めて注文品のある五反田へ向かう。いま第6波だなんて言われて蔓防も施行されたようだが、念のためにマスクもちょっと高いKN95というのを装着。

17時20分くらいに会場到着。2階は窓が開けてある。1階ガレージも脇から入る形になっていた。漁ったら面白そうな雑誌の山があったのだが、時間的に無視してザーッと見ていく。

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佐藤春夫「美しい町」(細川叢書)昭和22年9月20日少痛200円

藤井重夫「佳人」(東都書房昭和32年9月10日初版函200円

谷崎潤一郎「当世鹿もどき」(中央公論社昭和36年9月30日初版函300円

「森」2号(森開社)200円

「詩世紀」34、35、49、61、82号、各200円

そして検温して2階、なかなか面白い新書をズラッと並べている棚があるのだが、オッというのは千円とか値付けがされており…古書展でそれはなかなか。まあ注文品もあるしとあまり抱えないようにしていた。雑誌の山の中に「詩世紀」が10数冊あり1冊200円だったので長谷川敬掲載号を抜くと10冊あった。全部で2000円はちょっとなあと更に半分を戻す。で、注文した有田八郎「馬鹿八と人はいう」初カバ2000円は外れていた。今度文庫化されるけれども、前は「日本の古本屋」なんかで3500円は高いなとか見送っていたのだが、最近は何故か変にプレミアがついているらしい。

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そういえば今週は扶桑目録も来た。以下注文品。

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平出修「畜生道」(籾山書店)大正2年3月13日初版函欠痛2500円

北原白秋「わすれなぐさ」(ARS)大正11年2月5日16版函付3000円

畜生道」ってあまり売れなかったのだろうからか重版は見たことないし、古書目録に出るのは函付本で3〜4万してしまい、函欠少痛でお手頃価格みたいなのを探していたのだが、ようやく。白秋のはちょうどちょっと必要で、重版函欠1000円くらいのを前に見かけた時に買っておけばよかったなと思ったが、届いてみると重版とはいえ本体はピンピンの極美であった。

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演劇台本16冊合計100円

これはネットオークションで落札したもの。三島由紀夫監修「皇女フェドラ」が目当て。100円落札だが送料は約10倍。「フェドラ」は浪曼劇場で上演したのでNLTでは未上演のもの。「フェドラ」「アメリカ万歳」も上演ラインナップに入っていたので、「フェドラ」の稽古に入る前に分裂したのであろう。元の所有者は文学座演劇研究所の第6期生の人で、昭和42年ごろNLTに入団、50年前後くらいまでいたようだ。

趣味展とセール

先週まで都内の新規感染者数は20名とかそういうレベルだったのが急に1000人、2000人越えと第6波かという今週末、もしかしたら直前で中止になるかと思っていたが、趣味展は開催。今日は昼過ぎから仕事があってその準備のために寝不足ではあったが、いつもの時間に起床して出かける。が、バスを一本目の前で逃し、なおかつ途中で電車が急病人発生とかで一時停止。そんなこともあって会場到着は到着は開場5分前。

もちろん扶桑棚をじっくり見るのだが、心なしか、昨年よりも昨年よりも人垣が厚かった印象。ある程度見てから、今度は会場全体を見て回る。お昼、仲間に誘われて昼食に出て、その後、田村書店へ。後述するが、まさか店に入るのに行列ができているとは思わなかった。密になるというので入場制限。ここで並んで入る。いろいろ見たが、1冊も買わずに店を出て、軽くお茶して神保町を後にする。仕事の時間。

仕事が終わってからは、また古書会館に舞い戻り。16時すぎくらいであったであろうか。注文品2点は共に当たっていた。会場を再度回って、吟味タイム。注文品もあったせいでかなりの出費になってしまったが、お会計。

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川上眉山「大村少尉」(春陽堂明治29年5月4日痛口絵欠300円

高山樗牛「滝口入道」(春陽堂明治36年6月29日4版500円

「大村少尉」は表紙周りかなりボロボロだがまあ300円なら。本来は水野年方の木版口絵がある。一方、樗牛の方は重版だがこちらは年方の木版口絵は無事。

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饗庭篁村「掘り出し物」(新著百種2)明治22年5月29日初表紙痛1000円

尾崎紅葉「恋山賤」(梁江堂)明治41年10月10日初綴印500円

篁村はちょっと高いが、まあいいかと。

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小川未明「底の社会へ」(岡村書店)大正3年9月5日初版函印6500円

小川未明「悩ましき外景」(天佑社)大正8年8月1日初版献呈署名入4800円

この2点が目録注文品。「底の社会」は所持しているが函付となったので差替え。実は「悩ましき」も既に所持しているが、1冊くらい署名本をと。

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淀野隆三他訳「スワン家の方」(武蔵野書院昭和6年7月18日初版800円

矢野峰人「去年の雪」(大雅新書)カバ帯小野二郎宛献呈署名入200円

小栗風葉あんない」(2号)200円

三島由紀夫「レター教室」(ちくま文庫)重版カバ帯200円

プルーストは太宰「晩年」装幀モデル本ゆえに。これ以外は他の店の棚で。「去年の雪」は、献呈署名本が同価格でもう1冊あったがケチって1冊のみ。小野二郎って晶文社立ち上げたあの小野二郎だよねと署名本持っているのに買ってしまう。「レター教室」は三島没後50年の時に限定帯をつけたら話題になって急遽「帯をつけた表紙」柄のカバーをつけたもの。結構買ってしまって、なかなか辛い事になる。

で、先ほど述べた田村書店のセールの話。1月11日より初版本3割引、一般書5割引にそれぞれ消費税というセールが行われると知ったので、11日は雨の降るなか授業前に早く家を出て田村書店を見てきたのである。

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(写真は金曜日のもの)
そこで買った本が以下。

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石原吉郎「日常への強制」(構造社)昭和45年12月25日著者本限定200部函欠5000円

生田耕作クノップフの世紀」(奢灞都館)平成7年3月2100円

カイザー「美と芸術の対話エルヴィン」(南窓社)正続カバ揃2400円

価格は元の値段で、これから割引された。前々から何か狙っているものがあれば別だが、例えば函欠のパノフスキー土星とメランコリー」12000円でこれが半額+消費税で6600円は安いのだが、それなら今ちょっと必要な新刊書が2冊は買えるではないか、などとケチケチ躊躇し、結局はたいして買い物しなかった。ただ、石原吉郎は別で、ちょうど函欠が出ているのが目につき、確か限定版は署名入りだったよなと見ると建石修志エッチングも口絵として入っているしと買ってしまったもの。セールのおかげで普及版の古書買うのと同じくらいで買えたわけだが。